“あまちゃん” ばりの、汗と涙の熊本おこしの物語をチェッくまー☆
公開日:2013/5/19
高視聴率が続き、目下絶好調のNHK朝の連ドラ『あまちゃん』。田舎町活性のため、鉄道職員や地域の人々が「ああでもない、こうでもない」と、ない知恵を絞りまくるコミカルな奮闘記から、目が離せませんよね。同じように、地方から全国制覇を目指せとばかりに乱立する、ゆるキャラ戦国時代を見事勝ち抜いた王者・くまモン誕生の裏側にも、そんな地方公務員たちのたゆまぬ努力がありました。
「これは、一地方のゆるキャラくまモンを全国制覇に導くため、放送作家である小山薫堂氏の著書をバイブルに、日夜努力し続けた熊本県庁の精鋭部隊・チームくまモンの、汗と涙の奮闘の物語である……。」な~んて、ちょっぴり『プロジェクトX』調に始まるのですが、脚色がすぎると「すみません。脚色が入ってしまいました(汗)」と、すかさず中の人の声が入ります。
2011年3月の九州新幹線の開通を機に、熊本をアピールする「くまもとサプライズ」を展開するべく その一環として誕生した、くまモン。打倒ひこにゃん!? を合い言葉に結成されたチームくまモンは、「くまもと」の認知度アップを目指して会議を重ね、「自分の県ではなく、あえてよその県のPRをさせると面白い」という小山氏の言葉をヒントに、まずはくまモンを大阪へと出張させます。
はるばる大阪にやってきては、一生懸命大阪のPRを展開していくくまモン。ブログにその活動をアップし、さらにTwitterで出没状況をつぶやく。町ではトレカばりに32種類もつくった面白名刺を1万枚手配りし、カードの裏からブログやTwitterへと誘導します。新聞やラジオ、広告業界も巻き込んでの、実に戦略的なメディアミックスではありませんか。
そんなチームくまモンの斬新な企画力によるユニークな仕掛けの数々により、着実な認知度アップ&人気が上昇。この3月の誕生祭には4万人の来場者を集め、4月にはTwitterのフォロワーが20万人を突破、その経済効果は300億円を越すという、破竹の勢いでブレイクをとげたのでありました。
実はこの本、当初は「裏方の私たちのがんばりも、わかってほしくて」と、プロジェクトの裏話を200ページの手作りの冊子にまとめ、新幹線元年事業のアドバイザーである小山氏に手渡ししたことが、書籍化のきっかけとなったのだとか。
ということで、ゆるキャラ本かなと思って読んでみたら、さほどゆるゆるしていなかったのですが、限られた予算の中、メンバーの柔軟な発想や熱い想いで成し遂げた一大プロジェクトの内幕は、一読に値すると思われました。
「ゆるキャラグランプリ2011」において、熊本県営業部長のくまモンは栄えある1位を獲得
これがウワサのくまモン名刺。大阪の町で配布した結果、くまモンに1万人の友達が
大阪での認知度を上げるため、県知事や熊本の宣伝部長であるスザンヌと共に、吉本新喜劇に飛び入り出演!
(C)熊本県庁チームくまモン/幻冬舎