「理系にとって最強の萌え」がここに! 

公開日:2013/6/18

数学ガール 〈上〉

ハード : Windows/Mac/iPhone/iPad/Android/Reader 発売元 : KADOKAWA
ジャンル:コミック 購入元:紀伊國屋書店Kinoppy
著者名:結城浩 価格:463円

※最新の価格はストアでご確認ください。

理数系の本が好きな人なら一度は目にしたことがあるタイトルでしょう。その『数学ガール』コミック版です。原作はご承知のように「数学の本」です。数式がてんこ盛りです。

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著者の結城氏は原作あとがきで「TeXにEULERフォントで書いた数式、超綺麗!」みたいなことを書いています。
さて、そんなこだわり数式が一杯でアルティマニアと見間違えるような厚さの本を原作にして、いったいどうしたら上下2巻のコミックにできるでしょう。

原作は、主人公で語り部の「僕」と数字のラオウ「ミルカさん」、それから主人公を慕うバットのような立ち位置の「テトラちゃん」の織りなす物語を通して数学を解説しています。

春に「僕」はミルカさんと出会い、図書館でべったりディープに数学について語り合います。ま、主にミルカさんが難しい数学話を振って、「僕」が語り部となることで理解が進むという構図です。そしてより簡単な数学については、後輩のテトラちゃんが「僕」を慕って数学の話を聞きに来るという作りで解説します。こんな具合ですので、物語パートと数学パートの区別は明確ではなく、非常に密接に絡んでいるのですよ。

ストーリー部分だけで漫画にするのか? いや、それは無理だろ。
だって、冒頭の出会いからして、「僕」とミルカさんって数字でしか会話してないぞ。ましてや、アクションらしいところといったら、ラオウ「ミルカさん」が椅子を蹴っ飛ばすところだし。

で、読んでみたら、ちゃんと物語+数学していました。正確には、ストーリー部分はきちんと押さえ、数学的な内容は7章くらいまでのところに絞っているけど。数式については、オール手書きという力業で見事コミック化に成功しています。こちらはコミックのあとがきにあるのですが、作画の日坂水柯氏ではなく、字書き担当の別の方がいらっしゃるそうですよ。

少し前に大人の教科書と呼ばれるジャンルがはやっていましたが、数学を学び直したい方はこういう別のアプローチをしてもいいんじゃないでしょうか。だって、学習指導要領に沿った勉強なんかしたって、「また同じ挫折道」ですよ?


ミルカさんと「僕」は図書館で数学談義の日々を過ごす

原作では冒頭に来る、数字オンリーの出会い

ミルカさんとの会話は常にこんな感じ

こちら、後輩のテトラちゃん。数学にそれほど詳しくない読者の強い味方

そして手書き数式。数式を正しく印刷するのって難しいんですね