ゆとり世代のガールズトークなんて味気ない! これが大人のガールズトーク!

小説・エッセイ

公開日:2013/6/30

スナックさいばら おんなのけものみち 七転び八転び篇

ハード : PC/iPhone/Android 発売元 : KADOKAWA / 角川書店
ジャンル:ビジネス・社会・経済 購入元:BookLive!
著者名:西原理恵子 価格:864円

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ガールズトークという言葉はいつできたのか、既に私がそういう類の話をする年齢になった時には自然とあった。ガールズトークは女の子同士の話ってわけで、それ以上の定義はないけど、結局は恋愛の話をノロケ話からドロドロな話までするっていうのがお決まりのような気がする。そういう意味ではかつての「恋バナ」という表現は少し古臭くなってしまったが同義のようでいて、しかし恋バナよりもガールズトークというのは噂話と悪口と嘆きとで、もっとたっぷり負の要素が込められている女の暴露と懺悔の集大成でもあるようなのだ。

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今回読んだ『スナックさいばら おんなのけものみち 七転び八起き編』では、大人のガールズトークというコンセプト通り、スナックの「理恵子ママ」に扮する著者のもとに、恋愛、結婚、出産などにまつわる様々な悩みやエピソードを持った女性が集う。他人の不幸は蜜の味。理恵子ママは、それらを「あらまあ、御愁傷様ですね」と含み笑いを浮かべながら、眉間にシワを寄せて可哀相な顔を無理矢理作ってるようなワイドショーや噂好きのお節介オバサン…ではなく、腹の底から時には笑い飛ばして、時には称賛して、大丈夫よアンタ! っていう肝っ玉ぶりが心地いい懐の深いオバサン。元気出しなさいよ! 負けるんじゃないわよ! と分厚い手で背中を叩かれているようなそんな気分になる。

しかし私は何も苦労もなく恋愛に関して嘆くって言っても、しばらく彼氏ができないなーってくらいで、本当に浅い浅い悩みと生き様の中にいる分、先を行く先輩方の逞しくもしおらしい「大人の女の子」の姿に一種の尊敬すら感じてしまう。語られる話はどれも、ハッピーではなく、どちらかというと開き直るくらいのアンラッキーな出来事ばかりだけれども、それに向き合う大人の女の子たちはなんてかっこよく見えるのだろう。

私は理想と空想と妄想で上ばかり見上げたり、現実では俯きがちだったりで何事も真っ正面から向き合うということをして来なかった。それでもなんとかなってしまうようなゆとり世代にどっぷり浸かって、しかもたちの悪い事に、「ゆとりだから~」と何かの免罪符かのごとく乱用する始末なのである。そんなゆとりがするガールズトークなんて、若気の至りやら武勇伝やらを困った振りして隠しきれないドヤ顔で語るだけの、それこそ浅い浅い話しか持ち合わせていないのだ。男のことはわかった気でいるし、人生なんてちょろいって思ってる。

そして私自身が可愛くってしょうがなくて、可愛い可愛いって言っているうちにどんどん年を重ねてて、ただの性格と価値観の歪んだ大人になっていた。ちゃっかりしてて、おいしい思いもしてきたけれど、幸せとは程遠い。本の中で様々なエピソードを語る大人の女の子たちは、私より不幸なはずなのに、いきいきしていて幸せそうだ。悔しさをバネに、失敗を糧に、裸で仁王立ちしている姿をずっと思い浮かべていた。私はその力強さに圧倒されっぱなしだったのだ。


色々経験してきたから高望みなんてしない!

駄目な男でも根気よく育てればいい!?

浮気ってするのもされるのも、女を成長させるひとつの通過点?

最終的には幸せな夫婦生活っていうのに憧れちゃう!

幸せになりたいです!
(C)西原理恵子/角川書店