リピーター率97%! ディズニーの“また行きたくなる”マーケティング術

公開日:2013/6/29

ディズニー こころをつかむ9つの秘密

ハード : PC/iPhone/Android 発売元 : ダイヤモンド社
ジャンル:ビジネス・社会・経済 購入元:BookLive!
著者名:渡邊喜一郎 価格:1,296円

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日本人ならきっと誰もが一度は行ったことがある、と言えるほどの人気を誇る「夢の国」、ディズニーランド。ディズニーシーを含め、ここ7年は毎年2500万人以上の人が訪れています。これは現在の東京都の人口の約2倍だというのですから、夢の国がどれだけ大勢の人に愛されているのかが伺えます。この数字を毎年維持するとなれば、絶対に新規入園者だけでは間に合いません。

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では、この数字を支える一番の原動力は? …それはずばり、分厚いリピーター層です。これも数字が出ておりまして、なんと驚異の97%! 一体何をどうすればこんなにも大勢の人に「もう一度来たい」と思わせられるのでしょうか。その秘密がぎっしりと詰まった虎の巻が本作となります。

本作はマーケティング術に関する書籍ですが、さすがのディズニークオリティといいますか、これが大変読みやすい。小難しい経済の言葉が乱発されるわけでもなく、ただマーケティングで絶対に外せない理論を、ディズニーランド創設秘話とともに分かりやすく噛み砕いて解説してくれているのです。

例えば、『物語は人々に伝えやすい』ということについて。ディズニーランドのアトラクションには個々にキャラクター達の物語があるのが大きな特徴であり、またそれがディズニーの魅力的な武器のひとつでもあります。その魅力をいかに使うかという例えで『ただのダイヤモンドなら綺麗だなの感想で終わる。だが「シンデレラ城の壁画に埋め込まれているダイヤモンドと同じものです」と言ったら、お客様はどう思う?』というものがありました。当時の著者と同じく読者も思わずなるほど、と納得してしまうのではないでしょうか。そして、このエピソード自体もひとつの物語性を持っていて、物語というものがいかに人の心に伝わりやすいか、という理論の根拠にもなっています。

エピソードを中心にロジックを解説しているため、マーケティング書籍を読んだことのない人でも負担にならない。そしてあちこちに散りばめられたディズニーの創設秘話に、次はどんなエピソードがあるのだろうとページをめくる手が止まらなくなる! まさにこれぞディズニークオリティの解説書と言える、珠玉のマーケティング書籍でした。これから何かを始めようと思っている人や、また単純にディズニーが好きな人にもぜひおすすめしたい1冊です。


物語はこうして使う、という例示。当時の著者と同じく、思わず「なるほど!」と頷いてしまいました

ディズニーが版権に厳しいことは聞き知っていましたが、それも全てはクオリティ維持のため。一度やると決めたら絶対に手を抜かないその姿勢には、読んでいて思わず背筋を正したくなります

章ごとの終わりに大まかなまとめがあるので、頭の整理もしやすい。まとめを読んでいてどんなエピソードだったか簡単に思いだせる、というのがすごい
(C)渡邊喜一郎/ダイヤモンド社