うだるほど暑い真夏の夜に背筋が寒くなるホラー短篇集はいかが?

小説・エッセイ

公開日:2013/8/27

大きな樹の下で (晴海まどか短編集)

ハード : iPhone/iPad/Android 発売元 : 白兎ワークス
ジャンル:小説・エッセイ 購入元:Kindleストア
著者名:晴海まどか 価格:※ストアでご確認ください

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あなたは怖い話は好きですか? 私は正直、苦手です。特に、救いのないラストを迎えるような話は、読み終わった後もしばらくやり切れない思いを引きずってしまいます。でも、設定や描写が面白ければ、苦手でもついつい読んでしまうんですよね。そんな怖い話の短篇集です。

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「大きな樹の下で」は、突如現れた切ることも焼くこともできない巨大な樹に、街を潰され生活圏を奪われた世界で生きる姉弟の話。「ガイア理論」とか「共生」が、舞台設定の背景になっていると思われます。

「冷たい夏の手」は、交通事故で入院しているはずのクラスメイトが、急に目の前へ現れるという話。彼の手は、氷のように冷たく生きた人間のものとは思えないけど、なぜか恐怖を感じない。それは…

「Legs」は、クラスの仲良し4人組で書いたリレー小説の話。小説内小説のパートは、4人それぞれの文体で書かれているという設定になっています。「あ、誤字発見」と思ったら、おっちょこちょいな子があまり推敲せず誤変換が残っているという、意図的なものでした。

「海を見る」は、海の見える街の小さな喫茶店で、海を描いた水彩画を見つけ、絵を描くのが好きだった彼のことを思い出すという話。

どの話も設定や描写が面白く、一捻りされたストーリーにやられます。暑い真夏の夜に、涼しくなれる作品です。


都市を潰し根を張り切ることも焼くこともできない巨大な樹に覆われた世界――「大きな樹の下で」

都市を潰し根を張り切ることも焼くこともできない巨大な樹に覆われた世界――「大きな樹の下で」

クラスの仲良し4人組で書いたリレー小説が――「Legs」

海の見える街の喫茶店で見つけた水彩画は――「海を見る」