生徒数5人の分校で繰り広げられるゆる~い学校生活(10月からTVアニメ開始)
公開日:2013/9/2
少人数クラスがそんなにいいなら、へき地にある学校の生徒はみんな難関校を突破できるはずだ、などといわれることがあります。もちろんこれは揶揄であり、実際には地域の実情などが絡んできますが、確かにへき地にある学校や、交通の便が悪い地域や離島などに置かれている分校などは、おおむね少人数学校であり、少人数クラスではあります。
さて、本作はバスが5時間に1本しかこないほどの田舎にある分校を舞台にした、いわゆる日常系マンガ。ということで、スリリングな展開やキャラクターの葛藤や成長などを期待するとみごとに肩透かしをくらいます。癒やし効果を求めて読むのが正解です。
背景が秀逸。奥行きあり、のんびり感ありで、ちょっとした「田舎にトリップした感」が味わえます。主要な登場キャラクターは6人。うち5人は分校の生徒。小中合わせて、この5人で全生徒です。クラスは1つ。つまり、同じ教室で小1から中3までが勉強しているので、本作では自習が授業の基本形式。ちなみに、生徒のうち3人は兄妹で、一番小さい小学1年生の姉がクラスの教師を務めており、これが残り1人の主要キャラクターとなっています。家族のような雰囲気で、イジメなどジメジメしたものは一切ありません。
空気感もさることながら、人物同士の会話のやりとりが楽しい。田舎の何もない環境で事件を生み出すのは、やはり人。東京から転校してきた小学5年生の一条蛍が、田舎では家の鍵を閉めないことに驚き、それに対してほかの生徒があぜんとしたり、小学1年生の宮内れんげが「もしかして、自分が住んでいるのは田舎なのではないだろうか」と懐疑的になり、周囲が「そうではない(ウソ)」と安心させるために画策してみたり、ウサギにエサをやるところが飼育小屋に閉じ込められてしまって、200メートルも離れた校舎の人間にどうやってSOSを知らせるかに頭を悩ませてみたり。都会では事件になり得ない、田舎の少人数校ならではのエピソードが笑いを誘います。
10月からテレビアニメが放送開始。秋の夜長にクスッとした時間を。
【『のんのんびより』公式サイト】
生徒5人が勉強をする教室、2年1組(+小1+小5+中1+中3)
牛が道をゆく…「もしかしてウチ……田舎にすんでるのん?」
情緒豊かな、奥行きある背景
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