『Another』綾辻行人処女作 「視覚」で騙される驚愕のトリックがここに!

小説・エッセイ

公開日:2013/9/3

十角館の殺人

ハード : Windows/Mac/iPhone/iPad/Android/Reader 発売元 : 講談社
ジャンル:小説・エッセイ 購入元:紀伊國屋書店Kinoppy
著者名:綾辻行人 価格:750円

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トクトクという音がカラダ中に響くのを感じながら、作品を読み終えました。読後の今、作品を振り返って強く言えることは、序盤から読み手に謎解きと「予感」をさせ、真実へと導く過程に、一切の無駄を感じないということです。

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いわば、全てが真実への伏線で、仕掛けや動機そのものでした。そのどれもが、読み手の固定観念を取っ払うような衝撃であり、ラストの秀逸さには再読者が多いのも理解できます。この作品を注意深く読んだとしても、犯人や真実に気付ける人は、早々いないはずだと思わせるくらい、質の高い本格ミステリーでした。

作中の犯人の「あの言葉」の威力ったら…! ラストに行くに連れ、気付かされるのですが、私が推理していたことなんて綾辻行人さんの思惑通りで、知らぬ間に何度も裏切られていたという立派な「真実」を唐突に突きつけられるのです。その裏切られている様がもはや気持ち良いものにさえ感じてしまって眠れない夜を何度も過ごしました!笑

『アナザー』に続き綾辻行人さんのミステリーは2作目でしたが、計算し尽くされた今作にまんまと騙された感満載です。そしてなにより、綾辻行人さんの処女作だったとは…言葉が出ません。語るより読む、訊くより読む!まずは読んでください! 読む際は油断は禁物ですよ。みなさん、ぜひ!


登場人物の名がカタカナで明記されていることで、読むことを苦戦するかもしれませんが、これこそ綾辻行人さんが仕掛けた「トリック」だったり…。なかったり…。

このエピローグ部分を皆さんがどう感じるかお話を聞きたいです!私は、このエピローグがあって1人の人間のいわば生き様や心の動きみたいなものがより一層想像できたのですが、もしかしたら良心や邪心などここには要らないと感じる人もいるかもな~なんて考えています。

綾辻行人さんのこういう読ませ方が好きです。読みやすさと構成の良さは群を抜いているように思います!