利用者の難題に新米司書が体当たりチャレンジ! 図書司書のレファレンス奮闘記

公開日:2013/9/15

夜明けの図書館

ハード : PC/iPhone/Android 発売元 : 双葉社
ジャンル:コミック 購入元:BookLive!
著者名:埜納タオ 価格:540円

※最新の価格はストアでご確認ください。

本好きならばきっと一度は憧れる、図書館司書という職種。だって1日中本に囲まれる生活なんて最高じゃないですか! お仕事もカウンターに座ってお客さんの貸出手続きをするのが主でしょう。ほのぼのしてそう…と思っていたのですが、とんでもないとんでもない。図書司書には「レファレンス」という、大変かつ重大な職務があったのです。本作は、そのレファレンスに全力で当たる新米司書さんの奮闘記となります。

advertisement

書籍と利用者の間の橋渡しをする司書さんの重大な仕事、「レファレンス」。これは図書館利用者が求める資料を探し、提供するサービスのことです。昨今の学校では調べ物学習が増えてきているので、「地元の歴史について調べたいけれど、どんな資料を調べれば良いのかわからない」などのように、困った経験がある方もいることでしょう。その時に司書さんに相談して、欲しかった資料が見つかったという、この一連の流れがレファレンスです。

話の舞台は暁月(あかつき)市立図書館。葵(あおい)ひなこは3年間の就職浪人を経験しており、憧れだった司書になれたということもあって人一倍仕事に熱意を燃やしています。が、まだ慣れていないこともあり気合に実力が追いつかずレファレンスにも一苦労。そんな彼女のもとに、ひとりのご老人が訪れます。「80年ほど前の、自分が住んでいた地元の郵便局舎の写真を見たい」、と。ヒントはその局舎をとった写真が何かの賞に入ったという噂を聞いた、ということだけ。この他にも「父の崩し字で書いている手紙を解読したい」「光る影の正体が知りたい」という難題が次々に舞い込んできます。

探す側からしたら無茶ぶりも良いところですが、その難題の裏にある利用者ひとりひとりの強い思いや背景があります。ああでもないこうでもないと思考錯誤しながら資料探しに奮闘し、その途上で少しずつ自分も成長していくひなこの物語は、追っていると無性に図書館に行きたくなってきたりもします。本が好きな方にぜひともおすすめしたい一作でした。


3年の就職浪人の末、高倍率のなか見事司書の仕事に合格! やる気が満ち溢れているひなこ

「もう一度あの本を読みたいけれどタイトルが思い出せない」「あるテーマについての資料がほしい」「光る影の正体が知りたい」など、珍問・奇問・難問までレファレンスは幅広いもの。司書の仕事もなかなか大変です…

光る影を見た、といった小学生が友人たちに嘘つき呼ばわりをされて、その正体を調べに図書館にやってきました。どれだけ探しても見つからず、諦めかけていた少年への一言が身にしみます