【青空文庫で名作を】 読むほどに痩せる! 湿っぽいとはいわせない。純文学の業火をくらう!

小説・エッセイ

公開日:2013/9/26

蜘蛛の糸

ハード : PC/iPhone/Android 発売元 : 青空文庫
ジャンル: 購入元:BookLive!
著者名:芥川竜之介 価格:0円

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インフェルノ!! 読み終えて感じたのは、まさしくそんな感覚でした。焦げ臭いというか、まるで自分が燃した紙きれみたく、チリチリと赤熱するような…。なんだかとっても喉が渇くのです。

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―――純文学。これを見て、何を連想するでしょうか。
「イマドキ売れない」とか、「ネチネチしてる」とか、「よく分からない」とか。あまり同時代的な馴染みがなかったりするので、“純”という文字とは裏腹に、ネガティブで湿気ったイメージです。

しかし、それは完全な思い違いでした。本を開けてビックリ! めくればめくるほど、爆裂な文章がゴウゴウと燃え盛っているのです。扱う題材はそれぞれですが、その地殻の下で、真っ赤な溶岩が燃え流れているようなのです。表題作の“地獄変”はその最たるところ。

地獄変という大作絵(地獄変相図:地獄の責め苦などを描き表したもの)をめぐり、絵師が芸術のために魂すらも投げ打つ様は、純文学の根幹と重なりつつも、一種異様な生臭さを感じます。実際に火焔が猛り狂う様子も描かれていますが、それよりも言葉の地下深くを流れる炎熱を感じられるのが本作です。

鬼気迫る絶世の文学は、激情や獄炎を宿しつつ、物静かで、気難しく、不安定。敬遠されがちなのは、おそらく体力を激しく消耗がするからです。読み続けたらダイエットに効きそうなほどに、です。しかし、いちど漕ぎ出したら最後、蟻地獄のように、進むのも戻るのもためらう世界へ落ちること請け合い…。

芥川先生、凄まじすぎます。 本当に喉が渇きますよ! いや、痩せます!


最初はやや抑え目。短編の収録順もニクい

おなじみの悠然としたお話も

インフェルノ!