メンドクサクも哀しいたけなわ女子の生態

小説・エッセイ

公開日:2013/10/3

女もたけなわ

ハード : PC/iPhone/Android 発売元 : 幻冬舎
ジャンル:小説・エッセイ 購入元:BookLive!
著者名:瀧波ユカリ 価格:1,037円

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Yahoo! 辞書によれば「たけなわ」とは【盛りが極まって、それ以後は衰えに向かう時。また、そのようなさま】とあります。そしてこの書籍のタイトルは『女もたけなわ』。まえがきで「長い女の一生の中で、全力で恋愛や仕事や遊びに取り組む時間と体力のある20代・30代はまさに女の“たけなわ”と言えましょう」とのこと。なにやら冒頭からそこはとなくペーソスが漂います。

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著者はあの人気4コマ漫画『臨死!! 江古田ちゃん』で女性の業の深さを描く瀧波ユカリさん。女性誌で連載されたエッセイの単行本化だけあって、ひとつひとつの章が一球入魂、非常に濃ゆくてやや重め。エッセイとマンガが交互に挿入されているので一見読みやすそうに思えて一気に読み切ろうとすると、じきにお腹いっぱいになってギブします。目次を見て興味をひかれた章から、パラパラ読んでゆきました。

「彼氏をつくる意外な方法」「恋の終わりの性病検査」「気になるあの子の勘違い」等々、瀧波さんの体験をもとに、アラサー女子ならではのミモフタモナイ話や、人に見せたくないような恥ずかしい部分をとりあげ、反面教師的に考察したり、ときに自身が反省したり。その根底に流れるのは、どこまでも自虐でネガティブな視線。「そう、めちゃくちゃよくわかる!」と共感する方と「共感から一回転してちょっと苦手かも…」な反応をされる方、両者に分かれそうな内容です。未婚女性と既婚女性が別々のムラに住むというたとえ話「ふたつのムラ」では、仲良し2人組だったA子とB子が、B子の結婚を機に、スレ違い疎遠になり結局は絶縁するさまを、淡々とクールなタッチでつづります。

男性目線で読んでみると「じぇじぇっ。たけなわ女子ってそんな感じなの!?」と、女子のコワイ標本をのぞきみするような興味深さがあるかもしれません。ともすると「たけなわ女子って、なんかイヤだなあ」と幻想が砕け散るかもしれません。

しかし、女性読者にとっては、著者による若干はしたないエピソードや痛快な断罪を読むうちに、「よかった、上には上がいる、自分はまだましだ」「ものすごく欲が強いのは私だけじゃなかったんだ! 勇気をありがとう!」と、それはそれでな「カタルシス」が生まれてくるかもしれません。

本書のラストを飾るのは「女と女と“今、何歳?”」。初対面で相手の年齢を聞いたときのリアクション、あれこれについて書かれています。女同士だと、そのリアクションが優しい気遣いなのだとわかるけれど、しかしながら、相手の心情をおもんぱかった同性の上手なリアクションよりも、若い男子の雑な優しさのほうがよっぽどうれしかったりする、という。著者による結論「女って本当に面倒ですね!!」。そのとおりだと思います。ハイ。


超絶モテ子は、外見ではなく内的な各種能力を磨くことに全精力をかけている。またそのことをあっさり見抜かれるようなガードが甘い小物モテ子とはレベルが違う

「女子」という便利なフレーズに潜む甘い罠。その使い勝手のよさは「OL」を上回る。まだ女子であるうちにさっと舞台を降りよと、瀧波さん

自ら率先して!? トラブルやネガティブネガ男くんにからめとられにゆく瀧波さんの、実体験に基づく傾向と対策と教訓の数々は必読に値する