堺雅人主演の『リーガルハイ』ノベライズは、ストーリーの爽快感と、こなれていない感の狭間でモヤモヤ?

小説・エッセイ

更新日:2013/10/28

リーガル・ハイ

ハード : PC/iPhone/Android 発売元 : 扶桑社
ジャンル: 購入元:BookLive!
著者名:古沢良太 価格:926円

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この版元には校閲部がないのかな? 私がこの書籍を購入したのはBookLive!、いま大人気のTVドラマのノベライズということで、すでに2本のレビューが投稿されていました。そのうちの1本が思わぬ低評価。理由が「お粗末な文章」ということだったので、気になってはいたのですが、読み始めたら、レビュアーさんが仰る通り…。もちろんすべてのページで破綻しているわけではなく、たまに目に入る程度ではあるのですが、主述の整合性が曖昧であるなど基本的な日本語の書き方に瑕疵があり、それが目につくのです…。

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しかし、その欠点をおいても、ストーリーの面白さで楽しく読み進めることができます。文章は1ですが、ストーリーは5以上なので、総合評価は4とさせていただきました(しかし、TVシリーズのシーズン1をもうご覧になっていて、ストーリーが頭に入ってらっしゃる方にとっては総合評価が3以下となる可能性もあります)。

それにしても、拝金主義でありながら負け知らずの弁護士、古美門の行動は読んでいても観ていても楽しい。一部の方には毒舌に聞こえるかもしれない台詞の数々は、私にはほとんど正論と感じられます。そういう意味では爽快感もあり。ジーヴスにクレッシングの「料理人」スペックを搭載したような事務員、服部や、派手に忍ぶ調査員、蘭丸の活躍もちゃんと描かれていて、原作の味わいを損ねているのは数ヵ所の日本語の誤りのみなのです。

独立した書籍としてお勧めするのはちょっと難しいのですが、原作のドラマが好きで、なおかつ前シリーズのDVDを観る時間がない方には楽しい読書となることでしょう。むしろ脚本をそのまま書籍化すればよかったのでは…。主演俳優・堺雅人の前クールの出演作『半沢直樹』が大ヒットしたために大急ぎで出版されたのではと邪推してしまいました。


普通の人なら口にするのをはばかるようなことでも事実なら古美門は言う。彼の台詞はいずれも論旨が明快で読んでいてもスッキリする。立て板に水の早口でまくしたてるときも、論理は破綻しない。行動は金次第でころころ変わるとしても

この物語はあまちゃん新人弁護士、黛の成長記でもある。その甘さを「朝ドラ!」と罵られようと、彼女が屈せずに正論を述べ続ける姿に読者(視聴者)は感動すら覚えてしまう。最終的には古美門の手の上で踊らされてしまうのではあるが