イギリスに憧れ、訪問し続けた著者だから分かるイギリスの味！ 美味です

春にヨーロッパを巡ろうと思ってガイドブックを読み漁っていたところ、この本に出会いました。いい本でした。とても！ わたしは、いったい、なんのためにガイドブックを読み漁っていたのかと数時間前の自分にあきれるほど、いい本でした。「違う国を知ること」を本当の意味で教えてくれる貴重な1冊です。

雑誌編集者であり作家でもある井形慶子さんによるエッセイです。はじめてイギリスを訪れた19歳から50代になった今までの、きっと心に残っているのであろうイギリスの姿を書き連ねています。1年ごとに書いてあるとか、伝えるべき順に書かれているとか、そういう整った目次でないため、本当に書くべきことだけ書いてあることがよく分かります。

19のときに出会った心の豊かなイギリスに住む女の子の話とか、不思議な力の宿るスピリチュアルな地での体験やそこに対するイギリス人の考え方とか、自然によりそって生きるイギリス人女性の美的感覚とか、家族で過ごしたイギリス農家でのクリスマスの話、なんだかわたしにはおとぎ話のようで、読んでいる間は不思議な感覚がしました。

著者の目に映るイギリスの姿。イギリスに憧れ続ける著者だからこそ見える美しい姿がそこにはありました。本のタイトルは「あきらめない生き方」となっているけれど、全くもって啓発本ではありません。著者とイギリスの心のつながりを、著者の人生の一部を通して味わう、純なるエッセイであると感じます。私に外国は観光地ではないのだというとを教えてくれたように、きっと読者それぞれの学びが得られるはず。ぜひ読んでいただきたいです。