ロッカールームにタオルがないことも。寄せ集め球団としてスタートした「楽天」の軌跡

更新日:2013/12/17

楽天イーグルス優勝への3251日 ― 球団創設、震災、田中の大記録…苦難と栄光の日々

ハード : Windows/Mac/iPhone/iPad/Android 発売元 : KADOKAWA
ジャンル:教養・人文・歴史 購入元:紀伊國屋書店Kinoppy
著者名:山村宏樹 価格:616円

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スペインに住んでいる私にすら、東北楽天ゴールデンイーグルスの初のリーグ制覇、次いで日本シリーズの優勝は力強く伝わって来ました。ネット上の様々な記事やコメントにその熱気に流されるまま、とりあえずこの1冊を購入。震災の災禍も記憶に新しい東北という舞台。寄せ集めの新球団の赤字経営。野村監督、星野監督と超一流の監督を迎えながら低迷の時期を乗り越え、そして田中投手の活躍….どこをとっても、ドラマがぎっしりという球団。だからこそ、日本中が燃えたのではなでしょうか。

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著者の山村宏樹氏は大阪近鉄バッファローズの選手だったのが、この球団の消滅を受けて、イーグルスへ。「来年野球ができるのだろうか?」という状態から始まったと語ります。プロ野球選手ですら、その成績に関わらず失業の可能性があるというのもシビアな状況。全くのゼロからの寄せ集め球団。最初の頃には、十分なロジスティックスもなく、ロッカールームにタオルすらないときもあったとか。混乱期を経て、赤字の球団経営は着々に回復し、そして9年目で優勝を遂げる。その裏が面白くないわけがありません! ことに心に打つのは、東北のファンを大事にする球団の姿。そして被った震災と、その後の球団の決意。だれもが彼らの優勝に湧いたのは、久しぶりに野球が「夢」を見させてくれたからではないでしょうか。

復興と一緒に球団も強くなってゆくという感覚は、地元ファンには格別な思いがあるはず。まーくんの活躍ぶりもさることながら、野球というのがチームの仕事で、球場に出る人も出ない人も、1軍も2軍も関係なく、大家族のような団体なのだとよくわかります。花形のスポーツ選手すら、仕事人のひとりにすぎません。チームが力を合わせて目標に向かえば、必ず成就するという希望を与えてくれる1冊です。


全くゼロからの出発でも、さすが根性のスポーツ。着実に困難をクリアしてゆきます

野村監督の仕事の仕方も興味深く。野球にとどまらない人生訓がいっぱい

嶋選手のスピーチ。これだけ読んでも涙でます