高校生活は思ったよりつまらない? 女子高生時代の悩みいっぱいの日常

小説・エッセイ

公開日:2013/12/5

底辺女子高生

ハード : PC/iPhone/Android 発売元 : 幻冬舎
ジャンル:小説・エッセイ 購入元:BookLive!
著者名:豊島ミホ 価格:508円

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校舎の屋上に続くドアには鍵がかけられていたし、下駄箱にも一通もラブレターが入ってない酷く現実的な高校生活を送った人も少なくはないだろう。「事実は小説より奇なり」などというが、エンターテインメントに幼い頃から慣れ親しんで高校生活に夢と希望を抱いてきた幼気な少女達にとって、実際の女子高生の日常は至って普通でつまらない。ドラマのようなキラキラした日常はごく一部の人しか味わえないのだ、自分はそういう柄ではないのだと気づいた時、ほんの少し絶望した経験は誰にだって一度はあるのではないだろうか。

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豊島ミホ著『底辺女子高生』は彼女自身の高校時代を振り返った、ホロ苦青春エッセイだ。エッセイの中で女子高生の豊島は、日々をもがくように生活している。何の変哲もないそんな日々こそが、今振り返れば青春だったのだと気づかされる。

秋田県の某県立高校に進学した豊島は「中学までの自分」を清算してキラキラの高校生活をスタートさせようと意気込んでいたが、どうも上手くいかない。2年になると新しいクラスに馴染めなくなり、自分がクラスのヒエラルキーの底辺に属してしまったことに気づく。「底辺」から脱出するための家出。地味な学祭。保健室登校。「恋愛禁止」の厳粛な下宿生活。つまらない日常の中で懸命に生きた女子高生生活を面白おかしく描き出している。

大阪まで家出をして豊島が探していたのは、自分の居場所なのだろうか、それとも本当の自分なのだろうか。自分の存在が何なのかさえ分からず震えていた高校時代を誰もが思い出すことだろう。家出の準備のために荷物をちょっとずつ持ってきてコインロッカーに入れたり、ホテルに泊まるための偽名と偽住所を用意するなど用意周到なのに、結局お金の稼ぎ方も預金のおろし方も分からず、中学時代の仲良しのXちゃんにポケベルで連絡を取り続け、半月で両親に保護された豊島の姿には何処か懐かしさすら感じる。

高校入学時、一人称は「オラ」が一般的な自分の街と異なり、自らを「あたし」と呼ぶ女子達にカルチャーショックを受けたなどという地方エピソードとともに、明るく高校時代の葛藤を描き出した本作はぜひ、かつて高校生だった全ての人に読んでほしい1冊だ。


秋田県内だというのに、高校入学と同時にカルチャーショックに遭う

豊島が書いた絵も可愛い

少しツメの甘い家出の話もどこか可愛らしい

卑屈だった女子高生生活を面白可笑しく描いている