バイオパンク仏教バトル漫画!! 相手は、圧倒的な暴力としての“仏”!

公開日:2013/12/5

螺天―BIRTH― (1)

ハード : PC/iPhone/Android 発売元 : 幻冬舎コミックス
ジャンル:コミック 購入元:BookLive!
著者名:山口譲司 価格:600円

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世界には、神話や伝承が無数に存在しています。それはもう国の数だけ、文明の数だけ、人の数だけあると言っても過言ではないでしょう。その中には、神や精霊を始め、人智を超えたものが多く登場し、それが実在なのかどうかは大部分が謎のまま。そういった議論はしばしばオカルトだと言われがちですが、ロマンというか、なんとも言えないワクワク感を覚えてしまいますよね。ノアの方舟はあるのかとか、聖櫃はどこか、埋蔵金は、卑弥呼は…と想像を巡らせるのは人を惹きつけてやみません。

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―――どこかに千手観音の生きた腕がある。本作はこの腕を巡る物語です。

舞台は日本。全能の力を持つといわれる千手観音の腕を、古代宗教学者・御神十蔵が発見することが発端となります。
しかし、ただの千手観音ではなかったのです。44本の仏手に25匹の神獣を宿した…“千獣観音”と呼ばれる魔神の腕…。太古より人間に寄生し、生き続けてきたという魔性の存在だったのです。生きた悪魔とでも言うべきものであり、長らく闇に葬られ、封印されていた腕。御神十蔵により世に放たれてしまった今、それを阻止する為の一族イスルギ、軍事利用を目論む日本政府と軍事企業を巻き込み、腕を巡る戦いが激化していきます。

バイオパンク・密教バトルマンガ! というような様相を呈する本作は、仏さまが敵に回るという大変にパンクな展開。人智を超えたバケモノとして、神が描かれています。(神が人型である、というのもそもそも変ですから、本当はそうなのかも…?)

そして、相手が桁外れなので、当然対するキャラクターも人外魔境。影を斬るとか、空間を斬るというような芸当でもって“腕”と対峙します。スピード感に大技、決め台詞が乱発するので、バイオニックなバトル漫画として小気味よいリズム。

圧倒的な神。無であり有。創造主として申し分のない、あらゆるものを産む存在。正に文字通り“BIRTH”です。のっけから大ボス中の大ボスが相手で進む物語は、常にクライマックスでピンチ状態。スピード感も相まって、手に汗握る展開の応酬です。
「勝てる気がしない…」
という、神への畏敬の念を身を持って覚えることでしょう。

バトル展開も去ることながら、仏教や密教との繋がり、生物工学的な側面も非常に興味深いトコロ。実在の仏像は観たままの仏像ですが、太古の人々はナニを観てこの造形にしたのか…なんて想像するのも一興です。諸星大二郎“暗黒神話”や皆川亮二“スプリガン”などなど歴史・宗教がらみの作品が好きな方にオススメです!


千獣観音の腕。それは禁じられた力

これが千獣観音の腕だっ!!

超人研究の一環で腕を追う機関

影を斬る男VS虚空を斬る男

主人公でも1コマで片腕が飛ぶ強さ。はたして神は倒せるのか?
(C)山口譲司/幻冬舎