万人向けの不条理ギャグ!

公開日:2013/12/6

クマのプー太郎半分

ハード : Windows/Mac/iPhone/iPad/Android 発売元 : 小学館
ジャンル:コミック 購入元:紀伊國屋書店Kinoppy
著者名:中川いさみ 価格:432円

※最新の価格はストアでご確認ください。

「不条理4コマが」という話の前に。冒頭ではありますが、あとがきのメッセージから触れたいと思います。中川いさみさんご自身もどうやらWikipediaで調べたようですが、本作『クマのプー太郎』は約20年前にビッグコミックスピリッツで連載が始まりました。今もなくなったわけではないし、劇画とギャグが融合した野中英次さんの『魁!! クロマティ高校』のようにギャグ漫画は進化を続けていくわけですが、確かにあの頃、不条理ギャグ漫画はひとつのピークを迎えていたと思うのですよ。

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相原コージさんがいて、吉田戦車さんがいて。そして中川いさみさんの『クマプー』はアニメにもなって。ちょうど団塊ジュニアが高校とか大学生で、人口の最後のボリュームゾーンが漫画をせっせと消費していた時代。いくらバブルがはじけようと、むしろはじけた後だからこそ不条理というものが受け入れられたのかもしれないと思うのです。

個人的にはストーリー漫画の方に関心が高かったこともあり、不条理すぎる漫画には抵抗感があったのですが、クマのプー太郎だけは涙を流して笑っていた思い出があります。不条理ではあるのだけれど、それがどういう不条理なのかを説明するだけの筆力というか漫画力がクマプーにはありました。中には、そういう一見さんを受け入れる余裕を嫌う、通な人もいたけれど。

あれから20年がすぎて『クマのプー太郎半分』『クマのプー太郎もう半分』として蘇ったところをみると、「不条理はちょっと…」と思っている読者にもオススメできるのではないかと思います。時事ネタや他の作品をいじる、など前提知識を必要としない漫画だということも、これだけの時間を経て楽しめる要因ではないかなと思いましたよ。


右の作品など、とても一般的で受け入れられやすいと思う

だんだんとディープになってゆくけど、セリフが意味不明ということはない

当時は携帯すらなかったのです。Siriなどまだまだ夢の話でした…

日常生活に立脚したギャグだから、時代を問わない