“皇室”をイメージする世界観で繰り広げられる、王道かつ斬新な少女漫画!

公開日:2014/1/7

パレス・メイヂ 1巻

ハード : PC/iPhone/Android 発売元 : 白泉社
ジャンル:コミック 購入元:BookLive!
著者名:久世番子 価格:432円

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ぬばたまのお髪、切れ長の瞳、スラリとした体躯に軍服をキリリと着こなす。それが、主人公の学生「御園(みその)」が仕える今上陛下の「彰子(あきこ)様」である。その生活と公務の場であるパレス・メイヂ内、“鶏の杉戸”の向こうは男性禁制で、御園のような少年と女性しか入ってはならぬ掟がある。上に立つ者としての威厳と余裕を兼ね備えた陛下。だが、“鶏の杉戸”の向こうで時折見せる素顔に、御園の心は揺れてー…!?

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『パレス・メイヂ』という横文字のタイトルと表紙のイラストから、どことなく「ファンタジー物なのかな?」なんて思って読み始めたら、あっという間に覆されました。「(パレス=宮殿・メイヂ=明治)っていうことなのか!」と必要以上に感服。少し考えれば分かることでしたね…。

さて、物語の舞台となるのは、もちろん「パレス・メイヂ」。今上陛下である彰子様のお父様、明慈帝の名が冠せられた壮麗な宮殿に、出仕として御園がやって来るところから始まります。

ちなみにパレス・メイヂのモデルとなったであろう明治宮殿は、1888年(明治21年)から1945年(昭和20年)まで実際に存在した建物です。戦災で焼失した後、現在の宮殿が建てられたそうです。

さて、ありそうでないそんな設定の中、冒頭からその世界観・美麗さ・画力に圧倒されてしまいました。

モノローグで綴られるこの物語は、基本的に主人公の御園の視点で描かれているのですが、軍服の麗人である陛下に、のっけから御園共々心を奪われること必至です。

この彰子様。現代版オスカルとも言うべき優雅さにして、その実無邪気な子供の様な一面を併せ持つ、とても魅力的な人物なのです。普段はどこか陰のある佇まいですが、時折見せる満遍の笑顔! こんなの見せられたらそりゃあ見惚れてしまうよね、と主人公に共感してしまいます。

そんな彰子様は「陛下」であり「帝」。その他の物語中の設定や用語から判断して、明らかに史実の皇室をモデルにしてはいるものの、かなりファンタジックであり、もちろん現実に即して不敬などとは微塵も感じさせないのはお見事です。

作者の久世番子(くぜばんこ)さんは、2000年にデビューして以来、主に新書館の月刊ウイングスにて漫画(代表作『少年愛の世界』)やエッセイコミック(代表作『暴れん坊本屋さん)で活躍中の漫画家さんだそうです。不肖ながら存じ上げなかったのですが、この構成力と画力の素晴らしさに、他の漫画もぜひ読んでみたくなりました。『パレス・メイヂ』もまだ1巻なので、これからの展開にも期待です!


ここはパレス・メイヂ。近くて遠い場所

今上陛下の彰子さまは、軍服の麗人

出仕として働く御園少年の境遇

“治天の君”か“籠の中の鳥”か

様々な想いが交錯する宮殿内
(C)久世番子/白泉社