ヒロインに惚れる余裕がないほど、ドキドキさせてくれる冒険譚!

更新日:2014/1/28

七つの大罪(1)

ハード : PC/iPhone/Android 発売元 : 講談社
ジャンル:コミック 購入元:BookLive!
著者名:鈴木央 価格:432円

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「このマンガがすごい2014」オトコ版の5位に選ばれた本作『七つの大罪』はマガジンですが、作者の鈴木さん、週刊少年ジャンプご出身なのですね。しかもジャンプ本誌デビューが96年ということですから、高校を出てすぐってことでしょうか。なかなか純度の高そうなジャンプ作家だということは、キャラクターの造形からも伝わってきます。

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「どの辺が?」というのを一言で説明するのは難しいのですが、あえて言うなら徹底的に「自由」です。美醜、種族、そして身長差。ファンタジーなのだから、当然のこと、では片付けられません。形式美にとらわれるあまり、大変窮屈な印象を受ける中世ヨーロッパ(ドラクエ)的なファンタジー作品もありますが、そういうのとは別の次元で展開しているように感じました。

たとえば、主人公メリオダス。七つの大罪の団長にして、憤怒の罪。子どものような外見とずば抜けた力を持ち、ドラゴンボールの悟空っぽい何かを感じさせるキャラクターです。かと思えば、語り部的な立ち位置のエリザベス王女などは、少年誌と少女漫画の中間から出てきたような外見に加え、本人には事態を解決する力はないものの、時折みせる勇気が光る『ダイの大冒険』のポップのような側面もあって大変魅力的です。

ストーリーは“本来国に仕えているはずの聖騎士に不穏な動きを感じたエリザベス王女が、国を救うために城を抜け出し『七つの大罪』という伝説の7人を集めるために旅をする話”です。『南総里見八犬伝』から脈々と続く、王道ですね。王道だけにごまかしは通用しません。すべては七つの大罪(七人の侍という感じでしょうか)のキャラクターがどれだけ魅力的かにかかっています。

そして5巻までで4人の大罪が集まっているわけですが、いずれもソロで主役が務まるくらいの大物ばかりです。巻が進むと、敵役である聖騎士側でも共感を呼びそうな出自のキャラクターが登場し物語を盛り上げます。久しぶりに冒険という単語を素直に使いたい作品だと思いました。


冒頭、7人の手配書より。没個性ですね、手配書では

メリオダスと出会ったエリザベスが、旅の目的を語ります

彼女の口から語られる七つの大罪は、悪者っぽいけど…

しかしエリザベスにとっては、聖騎士の方が悪者

七つの大罪団長、メリオダスとエリザベスの旅が始まる!
(C)鈴木央/講談社