文豪がイケメンキャラクター化!? 特殊能力を武器にさあ、戦え!

公開日:2014/1/13

文豪ストレイドッグス(1)

ハード : PC/iPhone/Android 発売元 : KADOKAWA / 角川書店
ジャンル:コミック 購入元:BookLive!
著者名:朝霧カフカ 価格:605円

※最新の価格はストアでご確認ください。

ドラマの中の俳優にも歌って踊るアイドルにも何の興味もないが、文豪達の織りなす言葉の世界にはいくつも夢を見させられた。太宰を読めば、「生まれてすいません」とつぶやきたくなり、梶井基次郎の『檸檬』を読めば、丸善に檸檬爆弾を仕掛けたくなった。ああ、言葉だけでこんなにも心を揺り動かされるなんて、文豪達には人知を超えるような特殊な能力が備わっていたに違いない。そんなことを一度でも思ったことがある全ての文学オタクに捧げたい作品がある。それは、原作・朝霧カフカ、作画・春河35の『文豪ストレイドッグス』だ。

advertisement

中島敦、太宰治、国木田独歩、谷崎潤一郎…。『文豪ストレイドッグス』は文豪たちが特殊能力を駆使して事件を解決していくアクションマンガだ。 1巻の巻末によれば、本作が生まれたきっかけは「文豪がイケメン化して能力バトルしたら絵になるんじゃないかと編集と盛り上がったから」とのことだが、新たな登場人物が出てくる度にその個性の強さとイケメン過ぎる姿に思わずクスッと笑わされる。

舞台は現代・横浜。孤児院を追い出された青年・中島敦は、餓死寸前のところを太宰と名乗る青年に助けられた。太宰は軍や警察に頼れないような危険な依頼を専門にする異能力探偵集団「武装探偵社」に所属しており、中島も太宰の仕事を手伝うことになる。人食い虎事件や爆弾魔による立てこもり事件。異能力者の中でも最も危険視されている凶悪マフィア・芥川龍之介との戦い…。キャラクター化された文豪たちが、次々と降り掛かる凶悪事件に立ち向かっていく。

文豪はそれぞれのキャラに対応する特殊能力を操り、戦いを繰り広げるが、その能力に思わず笑ってしまう。例えば、自殺嗜癖の太宰治は『人間失格』というあらゆる能力を無効化する能力を有し、国木田独歩は『独歩吟客』という手帳に書いたものを具現化する能力を持っている。「一体、何だその能力は!」とツッコミどころ満載。だが、その激しいアクションの数々は手に汗握るものばかりだ。

キャラ化される文豪は日本だけに留まらない。アガサ・クリスティは『そして誰もいなくなった』、ドスト・エフスキーは『罪と罰』という特殊能力を秘めているらしく、今後の展開も気になってしまう。文学オタクはもちろんのこと、文学に興味の無い者も読めば、文学がどんどん好きになれそうだ。文豪の作品とともにぜひぜひ読みたい作品。


絵が実に美しい(1巻)

ひょんなことから太宰治に出会った中島敦(1巻)

キャラクターが何とも個性的(2巻)

敵は強敵(2巻)

スリル溢れるバトルも見物(3巻)

外国人キャラも登場!? 展開が見逃せない(3巻)
(C)春河35、朝霧 カフカ/KADOKAWA 角川書店