その名は呪いに似たガゴウ。人類の希望は決して死ぬことを許されない

公開日:2014/1/16

リュウマのガゴウ / 1

ハード : PC/iPhone/iPad/Android 発売元 : 少年画報社
ジャンル:コミック 購入元:BOOK☆WALKER
著者名:宮下裕樹 価格:525円

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化物を一気にバッサリ一刀両断、といったモンスターハンターのような爽快感のある作品を探して手を伸ばしたはずでした、『リュウマのガゴウ』。白いドラゴンのような化物、対峙するのは侍風の男と長刀。そうそう、私が読みたかったのはこういう爽快感のある作品だった…と思っていたら、見事にボディを決められてしまいました! 世界は濃い絶望で満ちていました。けれど決して消えない小さな一筋の希望がある。これは、人類すべての希望を一心に背負う「リュウマ」達の物語。

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舞台は「白皮(ハクヒ)」という巨大な人食いの化物が満ちた世界。蛭型虫型ドラゴン型、形容し難いキテレツな型、様々な型のハクヒに脅かされ、人類は滅亡の足音に怯える日々を送っています。戦力差は圧倒的な人類不利。ハクヒの侵攻で人類の拠点コミュニティ間の交流も物資交換もままならず、待つ未来は薄暗い。そんなジリ貧の人類の中で、唯一の希望とも言える存在があります。それが「リュウマ」。

その噂や通り名は千差万別、「失われた文明の秘薬を使って不老不死」「銀髪の男だった」「絶世の美女だった」などなどなど、曖昧模糊としています。しょせんは噂だ、デマだと思っていたある日のとあるコミュニティに、突如リュウマと名乗る男が現れたのだからさあ大変。彼の来訪をきっかけに、街の人々は少しずつ希望を抱くようになります。そしてハクヒの大規模な侵攻に辛くも防衛を成功。その影で、リュウマは致命傷を負ってしまいました。この世界と人々にはまだこの名前が、希望が必要だ。リュウマは死に際、傍らにいた青年に次の「リュウマ」を託してなくなります。

そう、「リュウマ」とは個人の名前ではありません。人類の希望を一心に背負って戦う者の雅号(ガゴウ)だったのです。

本作の面白さを際立たせるのは、なんといってもこのガゴウというバトンシステムです。なにせこれは「英雄の死」を前提としているもの。そのため1巻6話で「リュウマ」の名前を背負ったヒーローたちが、何度壮絶な討ち死にを遂げたことか。彼らの終幕は嫌がおうにも盛り上がる展開で、1話を読むごとに喪失感の大きさといったら。個人的には、1、2巻のセット購入をおすすめしたいところです。一気に読めばますます面白いこと間違いなしですよ!


大きなドラゴン型のハクヒを一騎打ちにて討ち取ったり。これぞリュウマの実力

弾丸が射出されるよりも早く拳銃を一刀両断。偽物疑惑も一刀両断!

人類にはまだ「リュウマ」が必要だから…受け継がれる希望のバトン

「死んだリュウマは偽りのリュウマ」「そうでなければならんのだ」人類の希望を負う名前の重さが示されています