新婚さんいらっしゃいから出てきたようなコミックエッセイ!

更新日:2014/1/28

月とにほんご ― 中国嫁日本語学校日記

ハード : Windows/Mac/iPhone/iPad/Android/Reader 発売元 : KADOKAWA
ジャンル:小説・エッセイ 購入元:紀伊國屋書店Kinoppy
著者名:井上純一 価格:1,028円

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『月とにほんご』です。サブタイトルの『中国嫁日本語学校日記』でぴんときた方も多いと思いますが、そのものずばりです。エンターブレインから2巻まで出ている『中国嫁日記』の井上さんのコミックエッセイです。40代の深刻なオタクである井上さんが、いろいろあって20代の中国人女性である月さんと家庭を築き、その日常を4コマ漫画で紹介する、あのお話ですよ。

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本作『月とにほんご』は、その『中国嫁日記』2巻の第1章、東日本大震災前後のエピソードを中心に、月さんの通った日本語学校の生徒たちとの交流を描いています。こう紹介すると、なんとなく「大震災で大変だったけど、絆って大事だね」みたいなパターンに聞こえてしまいますが、そんなおおざっぱな話ではありません。2頭身のかわいいキャラクターたちは、それぞれにきっちりと性格やバックボーンが用意されています。このキャラクターならこんな風に行動するはず、というところでちゃんと動きます。キャラが立っている、というやつですね。

また、この作品のもうひとつの見所は、タイトルにもある『にほんご』です。月さんの、外国人ならではの視点と、それに対する井上さんのツッコミです。さらに、本作では井上さんのツッコミだけにとどまらず、筑波大学国語学博士という肩書きを持つ矢澤真人教授が参戦。専門家の立場から、月さんの素朴な疑問だったり、日本人も意識していないような根源的な疑問に答えていきます。そしてまたまた、矢澤教授も見事なまでにキャラが立っている。登場してそうそうに、「質問に端的に答えるのは学問的にはあまりヨロシクないのですよ」と言い切ります。これは、日頃のご自身の研究に相当自信がないと、いえないセリフだと思います。かっこいいです。

不穏な時代ですが、こういう魅力的な人たちが、文化や言葉の違いを超えてわいわいやっている姿は、大変美しく思えました。


韓国からの留学生、ソンヒくんの説

日本語検定は、日本人でも落ちるんですねぇ…

まさに絵に描いた勤労学生のニコニコさん

そして矢澤教授の登場