入魂、されど「超脱力系」の偉人伝

公開日:2014/1/21

羽生生NEW偉人伝

ハード : iPhone/iPad/Android 発売元 :
ジャンル:教養・人文・歴史 購入元:Kindleストア
著者名:羽生生純 価格:※ストアでご確認ください

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タイトル『羽生生NEW偉人伝』。そもそもまずはどう読んだら良いのか解らないのだが、これは「はにゅにゅうにゅういじんでん」と読むのが正しいらしい。Wikipediaによると。

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この作品を大雑把に説明すると、ウィキペディアを参考に抽出した世界中の偉人を、本人とは無関係に悪人顔で描き、さらに「絶対言わないんだけどなんかその人が言いそうなセリフ」を付け足して一コママンガにしたものの集合体。巻頭の説明によれば、「半笑いで流し見するには丁度良い」と記述してある。しかし、マンガの中でも「一番シンプルで難しい」とされる一コママンガ、どんなもんよ? というある種上からの目線で読み始めたところ…。

1枚目でいきなり爆笑。(下段・キャプチャ1枚目ご参照)
なんつったてあのキュリー夫人をきゃりーぱみゅぱみゅ扱いして来るのだから、その発想の自由さに感動さえ覚える。こういう「そう来たか!」の極致のような、暑苦しくも惹きの強い偉人の絵が、内外あわせ全42名分。いろいろな分野からまんべんなく偉人が抽出されているのだが、予想されたこととは言え、アカデミックな要素がほとんどないところが逆に凄い。この独特過ぎる画風にどこか見覚えがあったので確認したところ、作者の羽生生純という読み方のよく解らない名前の漫画家は、ファミ通であの竹熊健太郎博士と組み、「ファミ通のアレ」を長期連載していた人。そもそも上から見てはいけない作家さんでした。ごめんなさい!

そういう予備知識が全くない状態で読んだため、作品のスペックは後から調べることに。初出はほとんどがスマホの「さるやまハゲの助アプリ」。このタイトルでピンと来る人もいることと思う。2000年代前半、世間がようやく”インターネット”を一般的なモノと認識した頃、爆発的にヒットした伝説のカルトネタ、「ペリーのお願い」を生み出した「さるやまハゲの助アワー」のアプリ版で、そこでの連載に書き下ろしを加え、Kindle書籍化したもの。Kindleの仕様上、ホンモノのWikipediaへのリンクは叶わなかった(冒頭にお詫びあり)らしいが、それすらネタに思える圧倒的な”まとまり感”。版が小さかった頃の月刊宝島やビックリハウスを読んでいたサブカル世代ならスッと入って行けるかと。もちろんシュールが大好物な人にもオススメ。

ちなみにコレを読んだ後、速攻でスマホに「さるプリ」をインストール。しばらくネタには困らないな、きっと。


これがきゃりーぱみゅぱみゅ扱いされたキュリー夫人・まるで猛獣の咆哮のよう

基本構成は【タイトル(偉人の名)】→【一コママンガ】→、そしてこの【解説】の順番、手書き文字は脱力感満点

Kindle書籍では珍しい強制縦表示を採用、見開きで先にオチに目が行かないよう工夫されている

世界の偉人たち ~西洋文明死闘編~の登場人物は全23名、ツボだったのはマッカーサー♪

日本の偉人たち ~島国根性野望編~の登場人物は全19名、ジョン万次郎は必見!

スマホアプリ「さるプリ」のアイコン、ホンモノもマジで白黒だった!!