どこをとってもナス風味!“ナスマンガの金字塔”を新鮮なうちにご賞味あれ

更新日:2014/2/13

茄子(1)

ハード : PC/iPhone/Android 発売元 : 講談社
ジャンル:コミック 購入元:BookLive!
著者名:黒田硫黄 価格:540円

※最新の価格はストアでご確認ください。

 とっくに明けましておめでとうございます。さて、「一富士、二鷹、三茄子」とされるくらいに持ち上げられるナスですが、依然、子どもが嫌いな野菜の上位から陥落する気配はありません。一方で、大人になるとナスがおいしくなる、ともいわれており、かくいう私もこの頃は「あぁ、このナスの漬物とお茶だけあればいいわぁー」なんて思ったり思わなかったり。

 そこで、ナスの理解を深めようと手を出したのが、本作です(迫真のウソ)。なにしろ本作は、作者がある夏の夜にナスの化身から「タマネギよりもメジャーにしろ!」と天啓(?)を受けて描いた“ナス漫画の金字塔”、という触れ込み(これはホント)。あの独特な世界観を持つ唯一無二のマンガ家・黒田硫黄によるナス漫画ということで、どれだけナナメをいく内容なんだろうと期待しちゃうじゃないですか。

advertisement

 構成はオムニバス形式。主役は、うーん、やっぱりナスなんでしょうねぇ。いずれも、いろいろな老若男女が、濃いヒューマンドラマを展開します。しかし、どの話も、ナスが中心になっていたり、オイシイところを持っていったり(美味なだけに)。黒田硫黄は、きっと、世界のどんな人間模様をもナスで描けるんじゃないだろうか、と思わずにはいられません。

 収録されているのは、以下のタイトル。

●3人(前・後編)…家出少年少女が、ナスをつくる男の家に飛び込んできて。「今夜はナスのカレーだ」「駄目だ 痒くなる」

●2人…よく知る女が訊ねてきた。洋酒とナスのチーズ乗せ焼きで、大人の恋を描く

●空中菜園…男子校の屋上に現れた竹を割ったような女子に恋をして。彼女に再び会うため、まわりが冷やかすなか、ひたむきにナスを育てる

●アンダルシアの夏(前・後編)…過酷な自転車レースの果てにある、大キライなナス漬けとワイン

●4人…オヤジたちの送別会で、夢とナスを語り合う

●ランチボックス…宙ぶらりんな男子と女子が川原でキャッチボール。手作り弁当にはやはりナス。“将来”ってなんだろうなぁv

 巻末のうんちく集「茄子おまけ」まで、まるごとナス風味。新鮮なうちにご賞味あれ。


1ページ目からドードーと主役(ナス)の登場

人間同士のぶつかり合いあり

大人の恋にナスとワイン。乾杯の音が聞こえてきそう

出てくる女の子がどれも自然体でかわいい

この迫真の絵にどうナスがからんでくるか、想像がつく?

巻末までしっかりとナスが詰まっている
(C)黒田硫黄/講談社