空気は読むな! 素のままで生きる“坂上忍の生き方”とは

小説・エッセイ

更新日:2014/2/24

偽悪のすすめ ― 嫌われることが怖くなくなる生き方

ハード : Windows/Mac/iPhone/iPad/Android/Reader 発売元 : 講談社
ジャンル:教養・人文・歴史 購入元:紀伊國屋書店Kinoppy
著者名:坂上忍 価格:756円

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 顔に笑顔を無理やり貼り付けるたびに、本当の自分がすり減っていく気がする。そんな現代人も決して少なくはないだろう。だからこそ、テレビでもてはやされるのは、ありのままの飾らない姿でいる芸能人たちだ。その代表ともいえるのが、坂上忍だろうか。「嫌いなのは仕事とブス」「有り金はすべて大晦日の競艇に注ぎ込む」。彼の本音を、モラルから批判することはできても、本当のところで否定できる人はいない。むしろ、何でも素直に発言する彼の姿に清々しさすら覚えてしまう。

 坂上忍著『偽悪のすすめ 嫌われることが怖くなくなる生き方』では、ひんしゅくを恐れず正直に生きようとする坂上の役者人生訓が語られている。空気を読みがちの現代人は、思ったことを躊躇なく口にする坂上の生き方に学ぶべき部分も大きいだろう。人間同士の付き合いを円滑にしようと思うのは、正しい心の持ちようだが、言うべきことを言わなくては本当の信頼関係は生まれない。坂上に言わせれば、「空気を読め」という言葉は「興ざめするような意見をいうな」という意味合いが強い。それはただの迎合であって予定調和だ。彼はそういう場面を見ると、思わず爆弾を落としたくなってしまうそうだ。ウソくさく振る舞っていては、個性がなくて、つまらない。

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 演出家としても活躍する坂上は、役者の個性を活かすために、子役指導にもあえて競争原理を持ち込もうとする。たとえば、子役の男の子2人が目の前にいたとしたら、「ルックスがいいのはA君、芝居がうまいのはB君ね」とはっきりとした優劣をつけてしまうという。そうすることによって、子役たちは自分の能力をどう伸ばすのかと、あがき始めるそうだ。競うことは自分のやりたいことを見つけるための近道なのだ。

 時には、不器用であることでさえ、武器となる。不器用な人が必死にあがく姿は、虚飾を取り去った素の自分を露にして魅力的だと坂上は語る。そのあがきの中にこそ、その人の人間的な魅力がたっぷり詰まっているのだ。坂上に言わせれば、人目を気にしてばかりの役者は、あがけない。一生懸命やっている振りに、苦しんでいる振り、あがいている振りと、なにからなにまで「ほんとう」がない。許容範囲を超えた中での間違いはミスではなく、味になるのだから、ただ全力でぶつかることが大切だと坂上はいう。

 虚勢を張る必要はない。良い人ぶる必要もない。ただ感じたことをそのまま全力で表現すれば良い。その方がずっと生きやすくストレスのない生活が送れそうな気がしてくる。「恋愛も仕事も隙間産業。」坂上の言葉は、胸に響いてやまない。


カネはどんどん使え

坂上だって嫌われたくはない

何事にも時間を区切ると良い? 飲み会も2時間まで?

女を口説く方法まで伝授してくれる。第一印象は最低な状態でいい?

正しい大人よりも格好いい男になれ