漫研で送る、高校生というマジカルシーズン!

公開日:2014/2/26

デイドリームネイション 1

ハード : PC/iPhone/iPad/Android 発売元 : KADOKAWA / メディアファクトリー
ジャンル:コミック 購入元:BOOK☆WALKER
著者名:kashmir 価格:450円

※最新の価格はストアでご確認ください。

 漫研を中心にした学園ものです。同じサブカルのサークルものだと、『げんしけん』などがありますが、こちらは高校生であること。また、地方都市(長野県飯田市あたりのよう)が舞台であるためか、学校生活全般にわたるエピソードが多く、部活外の生徒との交流も多めです。続刊では元生徒だった先生や、喫茶店のお姉さん(先生の元同級生)なども関わってきますし。そしてなにより、土着の神様が顕現して漫研の部室に居座ります。白景山の神様ということですが、兄弟神もいたりして『かんなぎ』のような非日常要素も楽しめます。

 全5巻なのですが、肝心のストーリーは、主人公の小岩井知春さんが高校2年の夏を経て、「漫画家になりたいけど、でもなれるとは思えないよなぁ。父親厳しいし」という気持ちに、ある種のけじめをつける話、という風にとらえることもできます。その一方で、群像劇としてみると、努力型の小岩井さんと、いつも一緒にいる天才型はだし少女の荻野夏穗さんの友情を中心に、そんなふたりの姿で百合妄想する桐原紗英さん、淡々とエロ本を拾う黒坂冬彦くんなど、「学校にこういうやついたよなー」と思える片鱗を抱えた人々の、どんちゃん騒ぎです。

 ただ、この作品の特筆すべき点は、要所で感じさせる高校生活の楽しいさ、そのはかなさを上手に盛り込んでいるところでしょう。特別、進路調査票を出すことで頭を悩ませる回があるとか、そういうわけじゃないのです。ただ、即売会に参加したときに偶然隣になったお姉さんとの会話で、小岩井さんが将来について考えたり、喫茶店エピソードでオーナーのお姉さんに語らせたりという具合なんです。オタネタ、セクハラネタで笑わせておいて、時々そういう切ない気持ちにさせるエピソードでだまし討ちにしてくれる素敵な作品です。

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主人公の小岩井さんと荻野さん。巨乳と無乳の名コンビ

ふたりは幼なじみでもあり、かつて神様と会っていた

漫研のふたりにあこがれるものの、なかなか入部しない桐原さん

時々、小岩井さん目線で友情や将来のことを考える