飼育未経験者必読! 猫を飼うという苦労の全力コメディ

更新日:2014/3/5

おはぎと大福 / 1

ハード : PC/iPhone/iPad/Android 発売元 : 少年画報社
ジャンル:コミック 購入元:BOOK☆WALKER
著者名:臼倉若菜 価格:525円

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 老後が不安、夢のない若者、高校生のなりたい職業No.1は安定堅実の公務員。バブル崩壊以降、社会全体的に疲労感と諦念が漂っています。そんな影響もあってか、昨今は長らくペットブーム。ペットといえばその種類にかかわらず、可愛い、癒し、もう1人の家族…と大変ポジティブに喧伝されることが多いのですが、だがしかし。愛玩動物といえどもまごうことなく個々の命、それを養う飼い主の苦労というものを、読んで思わずくすりとくるコメディに包んで、これでもか! と全力で伝えてくれるのが本作、『おはぎと大福』です。綺麗ごとでは済まない飼い主の艱難辛苦の連続がここにあります。ペット飼育が未経験で、今後ペットを飼いたいという意識がある方にはぜひとも先にご一読いただきたい作品でした。

 作品の舞台はペット不可のマンション。本作の著者、臼倉若菜(うすくらわかな)氏はそんなマンションの一室で2匹の猫と暮らしています。16歳のご長寿オス猫ブーと、8歳のメス猫ピコ。この2匹のキャラがまた際立って濃いのがおもしろい。ブーはとっても綺麗好き。時間さえあれば毛づくろいに余年がなく、未だに黒々とした毛艶を維持するほど。対するピコは、なんと8年間顔を洗うところも毛づくろいをしたところを見たことがないというのだから驚きです。

 作中の「人間だったら汚ギャル」という表現はまさにピッタリ。そして本人の代わりにピコの身だしなみを整えるのがブー。目ヤニ、耳の中、顔、首、いたるところをせっせと綺麗にする尽くし様。そんな彼にピコが与える返礼は、なんと猫パンチ! 甘え方と自分の可愛さの使い方を熟知しているオンナを見せつける猫、それがピコ! 甘えられるとあっさり陥落してピコを許してしまうブーといい、本当に個性的な性格をしています。

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 個人的におもしろかったと思った話は第8話です。「ひとり暮らしの女が猫を飼うと嫁にいけない」と言われる言葉を解釈した内容がおもしろかった。いつどこでくるのか分からないゲリラ毛玉吐きと敷物被害、トイレの世話、ご飯の世話。猫の世話だけでも大変なのにこの上夫や子供の世話なんてとてもじゃないけど無理、という回答には思わず笑ってしまいました。本作はまさに、ペット飼育の覚悟を問いかけるコメディエッセイマンガ。ペットに興味がある人は必読です!


白饅頭がメス猫のピコ、黒饅頭がオス猫のブー。綺麗好きのブーに対して汚ギャル上等のピコといい、2匹はとっても個性的

「怒るの?」「ぶつの?」どういうポーズと態度が自分が一番可愛く見えるか熟知しているピコさんさすがすぎです…

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