科学は人を裏切らない! 証拠を洗いだして過去の真相を暴け!

更新日:2014/3/10

Smoking Gun 民間科捜研調査員 流田縁 1

ハード : PC/iPhone/Android 発売元 : 集英社
ジャンル:コミック 購入元:BookLive!
著者名:横幕智裕 価格:500円

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 真っ白な雪道を踏みしめるまで、自分が歩けば足跡ができることなど忘れていた。おそらく人は生き続ける限り、どんなことをしようとも、永遠に痕跡を残すのだろう。それは、良いことでも悪いことでも同じだ。科捜研は科学技術を武器に人の痕跡を探し出す。時には冤罪を防ぐことも、死者の声を遺族へと届けることも、犯人を追いつめることもある。そこには一体どんなドラマがあるのだろう。そばで少し眺めてみたい。

 横幕智裕氏・原作、竹谷州史氏・作画の『Smoking Gun 民間科捜研調査員 流田縁』は民事案件や解決不可能の難事件に挑む民間科捜研を舞台としたミステリーコミックだ。2014年4月には香取慎吾主演でドラマ化も決定しており、展開から目が離せない注目作といえるだろう。

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 主人公は千代田科学捜査研究所・流田縁。DNA鑑定、画像分析、筆跡鑑定、指紋照合…。元は警察の科捜研に所属していた彼はあらゆる科学技術を駆使して、保険金問題や痴漢の潔白証明、ストーカー被害など、さまざまな難事件のSmoking Gun(=決定的証拠)をあぶり出していく。

 アフロヘアーがトレードマーク、大好物のドーナツ片手に事件を解決していく流田縁は一見頼りなさそうに見えるが、その腕は確かだ。警察の科捜研とは異なり民間の科捜研には世間を賑わすような大事件の依頼がほとんど来ないが、直接依頼人や関係者の不安や痛みを背負うのが、その魅力だろう。母親がストーカー被害に遭っているという母子家庭の小学生の依頼も、縁は、スニーカーについたオリーブの葉の鑑定結果を元として、子ども自身に犯人に立ち向かわせようとした。おまけに鑑定料を月々100円2000回払いで請け負ってしまったために、所長・千代田真紀に怒られるという一幕もある。売上よりも、人情を重んじる。熱意と思いやりを持った鑑定員が流田縁という男だ。

 所長の真紀や、行方不明になった親友の子どものくるみ、ひょんなことから科捜研で働くことになった桜子など、千代田科学捜査研究所のメンバーはみな個性的で明るい性格だが、それぞれ大切な人を失った事件や事故の傷を抱えている。それが彼らの原動力となり民間科捜研での仕事への情熱へと繋がっているのだろう。だが、そんな結束力ある彼らの身に次第に危機が迫っていく。縁は危険にさらされた千代田科学捜査研究所のメンバーを救うことができるのか? そして、最愛の人を殺した犯人を見つけ出し、自身の過去を乗り越えることができるのだろうか。

 独特の思考と発想力、推理力を活かし、依頼に向き合う民間の科捜研の研究員たちは、探偵よりも探偵らしい。意外な展開の数々に胸が締め付けられる。ああ、無事に全ての事件が解決してほしい。思わず、手に汗握る展開から目が離せない。


民間の科捜研で働く流田縁(1巻)

桜子もひょんなことから科捜研で働くことになる(1巻)

縁のかつての恋人エミリは花ような存在だったのだが…(2巻)

エミリが殺されたときの記憶を取り戻そうとする縁(2巻)

エミリを失った過去をひきずる縁の言葉はどれも重い(3巻)

流田の過去を知るにつれて、桜子の心はゆれる(3巻)