突如、ぼくの体から猛烈な異臭が!? “臭い”をめぐる切なくも可笑しい異色の冒険譚!

小説・エッセイ

更新日:2018/5/15

スメル男

ハード : PC/iPhone/iPad 発売元 : 講談社
ジャンル:小説・エッセイ 購入元:電子文庫パブリ
著者名:原田宗典 価格:594円

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ある日、無嗅覚症の“ぼく”の体から、異臭が漂い始めた。まともに嗅いだものは、みな嘔吐せずにいられないほど強烈な悪臭だ。
当然、“ぼく”は一刻も早く何とかしようと躍起になるのだが、奮闘むなしく事態は悪化するばかり。そこへ、突然2人の天才少年が現れ、物語は予想もしなかった方向へと大きく動き始める…。

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涙と笑いと興奮に満ち満ちた、ノンストップ傑作巨編!
本作は、文庫本にして400ページ以上あるなかなかの長編だ。正直なことを言えば、最初はiPhoneで読むことに少なからず抵抗があった(だって、なんかしんどそうだし…)。
が、そんな心配もどこへやら。
気づけばまんまと一晩で読了し、今となっては「iPhoneで読むほうがいいかもね、手が疲れないし」なんていけしゃあしゃあと人に薦めたりもしている。
いや、別にことさら電子書籍を賞賛しているつもりもなくて、「強いコンテンツはどんなメディアを通そうが、色褪せることはない」ということを改めて思い知らされたというわけです、この『スメル男』に。ユーモア溢れる筆致に、個性的で温もりを感じさせるキャラクター。
随所に張りめぐらされた伏線を見事に回収(これがまた快感!)しながら二転三転していくストーリー──特に2人の天才少年が登場して以降の展開から目を離すことは、もはや不可能に近い。
いろいろな意味で刺激の多い作品なので、「最近、生活が単調で…」なんて思っている方にはぜひ読んでみていただきたい。

本文のデフォルト画面(.book形式)。個人的には、ちょうど読みやすい文字組みだった。背景はアイボリーなのも眼にやさしい印象

ストーリーの中に時折、挟み込まれる新聞記事。色や文字組にちょっとした工夫がこらされている

画面を下にむけてひっぱると、ツールバーが表示される(.book形式共通)。さらにこのツールバーを右にドラッグすると検索窓が、左にドラッグすると文字サイズの調整や縦組/横組の選択が可能なツールが現れる

著者独自の豊かな比喩表現が、この物語を単なるエンターテインメントにとどまらない、味わい深い文芸作品へと昇華させている