八幡神社の神様は、ナント! あの国から!

更新日:2014/3/27

なぜ八幡神社が日本でいちばん多いのか ― 〈最強11神社〉八幡/天神/稲荷/伊勢/出雲/春日

ハード : Windows/Mac/iPhone/iPad/Android/Reader 発売元 : 幻冬舎
ジャンル:教養・人文・歴史 購入元:紀伊國屋書店Kinoppy
著者名:島田裕巳 価格:882円

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 日本の神々について、「神仏習合」があったことさえ、忘れていました。そうなんです。明治までは神仏日本の寺院に神様が祀られていることも、神社に菩薩があることも大丈夫だった日本の宗教。この1冊を読むと、その曖昧性と複雑怪奇さを改めて認識せざるを得ません。明治政府が「神仏判然令」を出してから、それぞれの「ジャンル」が重なることのないように、少し整理されはしましたが、私たちが日常お祈りしたり、願をかけている「神様」はまさにTPOに合わせて、本当に沢山存在しているもの。

 著者が「はじめに」の中で語るように、実は西洋の唯一絶対の「ゴッド」の訳は実際には日本にはないのでは? というのも、鋭い指摘です。日本の神様と西洋の神様はそれくらい存在が違う。そして衝撃の「八幡」のルーツ。もとは外来で、韓国の神だったとか!「天神様」は菅原道真の怨霊を鎮めるためにできたものだし、「稲荷」は稲作の豊穣を願って立てられたなどなど、日本の信仰のルーツを探ってゆく本書。日本で多い神社の内訳を覗いただけでもこのバリエーション。西洋のたったひとりの「神」とは全く事情が異なるのがよくわかります。

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 キリスト教寺院でもキリストのほかにマリア様も聖人もたくさん祀られています。が、日本ほどの複雑性はもちろんなく、本書の中で日本の民間信仰がどんな風に裾野を伸ばして来たのかというのを垣間みると、「宗教」という言葉自体を日本においてはもう一度定義しなおさなくては? という気持ちになってきます。

 普段通り過ぎるばかりの小さな祠やお祭りのときしか行かない神社。そんな「神様」にもきちんとルーツがあるということも再認識。こうした視点で日本の神様を考えさせるという本も希有なのでは。面白いです。


八幡神は日本神話と無縁の関係だった、と知っていました?

そして日本の神社の中ではダントツに多い八幡系

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