今、まさに考えるとき。放射能の怖さを知り、これからの日本を考える

公開日:2011/10/17

いのちと放射能

ハード : PC/iPhone/iPad 発売元 : 筑摩書房
ジャンル:小説・エッセイ 購入元:電子文庫パブリ
著者名:柳澤桂子 価格:540円

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放射能や原発事故と言えば、今は関東・東北大震災後の福島第一原子力発電所の事故です。しかし、記憶する最初の原発事故は1986年のチェルノブイリ原発事故ではないでしょうか。

本書はチェルノブイリ原発事故を受けて1988年に書かれたものです。今、読んで、まさに原子力と放射能について真剣に考えさせられる書です。今、まさに私たちが直面している放射能の問題でもあります。

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科学者の立場で放射能が人体へ及ぼす影響について説明しています。放射能を持つ原子の種類はヨウ素131、コバルト60、セシウム137、プルトニウム239などがありそれぞれの特性などについても触れています。

また、なぜ妊婦がレントゲンすら危険なのかがわかりました。細胞分裂が一番盛んな受胎している時、成長期の子どもなどは放射能によりデータの壊れた細胞や、データが書き換えられたDNAが一気に広がるからなのです。細胞分裂のスピートが遅くなったり、成長が止まると細胞が破壊されるだけで広がらないのですが、大人でも細胞分裂を繰り返す部分が甲状腺と生殖器なので、自分のことだけじゃなく子孫への影響も真剣に考えさせられました。

また、本書ではチェルノブイリ原発事故も放射能が漏れている事実を隠蔽していたこと、その後日本でも2007年北陸電力志賀原発一号機が臨海状態になる事故が発生すると、1988年に東北電力の女川原発、1991年中部電力の浜岡原発、1993年東京電力の福島第二原発、2000年同じく東京電力の柏崎刈羽原発などこれらの大事故も公表されていなかったことが明らかになったということが、文庫化に向けて2007年にあとがきが加筆されています。これらの事故について、いつのまにかうやむやになっている。

そして、福島の震災での原発事故。

情報が錯綜して政府の発表も東京電力の発表も何が正しいのか全くわかりませんでした。でも過去に似たようなことがあり、しかも何ども隠されていた事実を知り、それも納得しました。だからこそ、政府や電力会社を批判する前に自ら正しい情報を得て判断することも多いのだと思いました。

これを機会に、じっくり放射能について考えることが出来ました。科学的な本ですが難しくありません。ちょっとゆっくり読んでみてはいかがでしょうか。


目次から読みたい部分に入ってもすんなり読めます

明るさのを抑えると目が疲れませんでした

パブリの紹介部分。科学的に放射能について知ることができる書です