不倫ってこういう事。「やがて読者も騙される」の帯通り、騙されました

小説・エッセイ

更新日:2014/4/21

愛に乱暴

ハード : PC/iPhone/Android 発売元 : 新潮社
ジャンル: 購入元:BookLive!
著者名:吉田修一 価格:1,382円

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初瀬桃子は、平凡な毎日を過ごすどこにでもいる専業主婦。夫の両親と同じ敷地内に住み、姑と少しだけぎこちない会話を交わし、猫を可愛がり、月4~5万程度になるアルバイトをする。そんな普通の専業主婦は、夫の真守の不倫によって、少しずつおかしくなっていく。書籍販売時、『やがて読者も騙される』と言う大胆な帯を掲げて発売された吉田修一の話題の電子書籍版。

「不倫って要するに醜いセックスじゃない」
読み始めて早々に出てくる台詞。確かに不倫という関係の中に美しい何かは、第三者からはあまり感じられない。醜いセックス、とはうまく言ったものだと思う。物語は、初瀬真守の不倫相手の女の日記と、真守の妻である桃子の日常が交互に語られる形で進められる。穏やかな日々を淡々と過ごす妻の桃子に対し、不倫相手の女の日記は真守との恋愛に一喜一憂して、はっきり言って馬鹿みたいだ。でも、「週末はいよいよ初瀬さんとの旅行!楽しみ!」で締めくくられる日記は、圧倒的に桃子に比べて楽しそうである。しかし、桃子は夫がそんな女と不倫をしている事など全く知らず、むしろ夫婦円満だとさえ思っている。というか、円満かどうかなど毎日の生活が忙しくて考えもしていない。主婦であり妻である女と、不倫相手であり恋人である女の差。これが不倫か。

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「やがて読者も騙される」の帯のおかげで、注意深く読み進めて行きましたが、結局私はまんまと騙されてしまいました。何と言うか、そのトリック自体にこう…あー、これ以上は言えない!!ぜひ読んでまんまと騙されてください。このトリックも面白いけれど、不倫未経験者の私としては、絶対不倫なんてしないと再認識させられた物語でした。
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