まるでB級グルメ選抜大会!? 給食をめぐるおそるべき実態の衝撃報告

公開日:2014/4/30

もっと変な給食

ハード : Windows/Mac/iPhone/iPad/Android 発売元 : ブックマン社
ジャンル:教養・人文・歴史 購入元:紀伊國屋書店Kinoppy
著者名:幕内秀夫 価格:1,296円

※最新の価格はストアでご確認ください。

 実はこの本を読むまで「給食」の実態が悩ましいものだったとは、正直、まったく理解してはいなかった。自分が子供の頃ならいざ知らず、リアル現在形で食材が偏ったトンチンカンなメニューがまかり通っているというのだ。実は私の息子は保育園時代から給食のお世話になっていたが、当時は頼もしい以外のなにものでもなかったし、いざお弁当生活がはじまったとき「いよいよこの子のカラダは私が選んだものでしか身体が作られないのだ」と気を引き締めた覚えがある。

 だが、それもこれも、たまたま給食について意識の高い学校に通っていたからの幸運だったのだと、この本で初めて理解した。なぜなら、保護者と学校が給食の改善を巡って告訴ありのトラブルを抱えていると詳しく紹介されている事例が、なんと同じ区にある中学校だったからだ。まさか同じ自治体、しかもご近所でこんなバトルがあったとは……いやはやこうした問題はまったく「他人事」ではないのだと心底実感させられた。

advertisement

 さて本書では、栄養の偏り著しい献立、あわやB級グルメグランプリかと見まがう献立、栄養士の味覚を疑う献立などなど、再現写真とともにドドンとみせてくれる。ヒドさを競う甲子園開催など皮肉の効いた展開には賛否両論もあるだろうが、インパクト抜群なのは間違いない。まずは注意を喚起することが本の目的ならば、一般読者や関係者にショックを与える効果は絶大だろう(なにせ私自身もその一人だ)。

 それにしても、豊かな日本社会において、なぜ足元の給食でこのような状況が起きているのか不思議になる。本書では縦型行政や現場の応用力のなさなど様々な要因をリアルな資料とともに指摘するが、そうした改善には現場の「意識改革」が大事になるとのこと。意識改革ならば、PTAからの投げかけも有効なわけで、こういう本をきっかけに、保護者の視点でも可能なことから点検してみるのも大事かもしれない。もちろん読めばおそらく、子供の献立表をチェックしたくなるはずだけれど。


目次その1。特別選抜、甲子園などさまざまな手法でダメ給食を紹介

目次その2。ダメ給食にはさまれたコラムは興味深い視点が多い

給食作りの原点となる「学校給食法」のはずなのだが…

トップクラスのダメ給食は見開き紹介。これは1Pでコンパクトに紹介したパターン。すべて再現給食だ

シリーズ2冊目となる本書では、自治体からの迷走クレームも原文ママで紹介。あくまで強気