キラキラ光る言葉によって放たれた珠玉の短編集。大切な思い出がよみがえります

小説・エッセイ

更新日:2012/2/3

タイニーストーリーズ

ハード : iPhone/iPad 発売元 : Bungeishunju Ltd.
ジャンル: 購入元:AppStore
著者名: 価格:1,200円

※最新の価格はストアでご確認ください。

こんにちは。ちばむです。 中学生のころから大好きな作家、山田詠美さんの最新作『タイニーストーリーズ』の紹介です。

実は、こちらの作品は大好きな作家さんゆえ、書籍ですでに購入済みだったのですが、一編一編のお話がとてもすばらしく、いつでも持ち歩きたい!ということで電子書籍版も買ってしまいました。

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21編が収録された短編集なのですが、一編一編まったく違う文体で描かれています。私は電車の移動時間に一編ずつ読み返していました。電信柱が主人公のお話や、山田詠美さんの体験をベースに書かれた「GIと遊んだ話」、思春期の男の子が主人公のお話など、どれにも山田詠美さんの極上の想いが珠玉の言葉となって心にすーっと入ってきました。

とくに、「GIと遊んだ話」がお気に入りです。閉店後のクラブでバーテンの子と元ベトナム兵がダンスをするシーンはまるでおとぎ話のように美しく、何度読み返してもうっとりしてしまいます。夜が深くなると、急に冒険心に火がついたり、ふだんとは違う自分になってみたりすることってありますよね(私は深酒するせいか、よくあります)。

翌朝になるとうっすらと余韻が残っていて、昨日はなんだか熱く語っちゃったなとか、はしゃぎすぎたな、とか。そういう夜って月日が経ってもその時の会話や、皮膚感がうっすらと残っていて飴玉を口の中で転がすように思い返したりします。

山田詠美さんの小説によって、忘れかけていた夜の大切な思い出がよみがえりました。一編一編、味わうように楽しめる短編集です。

寒い夜に読むと身にしみますよ。

目次には21編のタイトルが並ぶ。「GIと遊んだ話」がお気に入りだったので、1話~5話まで指定して何度も読み返しました

気になる言葉があれば、本文・Web検索ができます

電子書籍だけのオリジナル特典、著者インタビューがあります。あとがきは書籍にもありましたが、創作裏話や作品に取り組むときの姿勢も知れてより作品が身近に感じられました