昭和の同棲はこんなに暗かった!? 若さと情念がほとばしるゴールなき愛の暮らし

更新日:2012/4/3

同棲時代 (1) 【割引版】

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ジャンル:コミック 購入元:eBookJapan
著者名:上村一夫 価格:97円

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“婚前交渉”という言葉にまだ影がつきまとっていた1970年代、若者たちの間に同棲ブームを巻き起こした漫画があった。

その名もズバリ『同棲時代』。

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単行本発売から42年が過ぎた今、この名作がまさか電子書籍で読める日がやってくるとは! 貧しく暗く後ろめたく、そのぶん淫靡だった“愛の巣”の暮らしとは…?

小さな広告会社に勤める今日子21歳、イラストレーターの次郎23歳。

それぞれ親元を離れて地方から上京したふたりは、木造アパートで一緒に暮らしている。二人は一緒に食卓を囲み、激しく愛を交わし、時に深く傷つけあう。若い男女の平凡な幸福の日々。

ある雪の夜、今日子はタバコの煙をくゆらせながら、次郎に話しかける。

「ねえ次郎 ずっとこのまま のほほんと生きてゆこうね」

隣りでギターを弾いていた次郎は「それがいい それがいい」と笑って頷く。 ずっとこのままでいられたら――。だが脳天気な男とは対照的に、やはり今日子は本心では悩む。

「仕事も家庭も性(セックス)も曖昧にしていられるのは同棲しかないと思っているけれど これでいいのかしら…」

彼らの同棲生活に漂う暗さの原因は、結婚というゴールがないことだ。共有できるのは今この瞬間だけ。ふたりとも頭のどこかではそのことを理解している。

未来のない刹那の愛。 だがその儚さと激しさこそが、読者を強く惹きつけるのだ。

全10巻の長編だが、気づけば今日子と次郎の濃厚な愛憎の世界にねっとり絡め取られ、衝撃のラストまで一気に読み進めてしまうはず。

恋愛漫画史に残る、ヒリヒリするような傑作。

木造アパートの狭い一室で寝食を共にする今日子と次郎

「ずっとこのままのほほんと生きてゆこうね」と呟く今日子

上記の今日子の言葉に対する次郎の反応。ふたりの表情から女と男の温度差がよくわかる

基本は各話完結の読み切りなので、目次からダイレクトに飛んでもOK

20代カップルの甘い暮らしを切り取ったひとコマ

同棲の意味について一人思い悩む今日子。この思い詰め癖がのちに悲劇を引き起こすことになろうとは… (C)上村一夫