肩の力が抜ける、「ありのまま」に近づく考え方の練習

公開日:2014/5/11

“ありのまま”の自分に気づく (角川SSC新書)

ハード : iPhone/iPad/Android 発売元 : KADOKAWA 角川マガジンズ
ジャンル:教養・人文・歴史 購入元:Kindleストア
著者名:小池龍之介 価格:※ストアでご確認ください

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 東大出身の現職住職という肩書きもさておき、小池氏の魅力というのは等身大のお坊さん、というところ、その凛とした佇まいなのでは。お坊さん自身が表紙に登場している説教本でこんなに売れているものはないのでは、と常々観察していました。

 表紙に溢れるこの清然とした空間は何!? カリスマ的ではないけれど、時々話しを聞いてほしいなどと妄想をかき立てる、どこにでもいるお兄さん風なお姿。ビジュアル系お坊さんなどという不謹慎なキャッチが頭をよぎりつつ購入。

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 今回のこの著書、大ヒットした『考えない練習』『苦しまない練習』よりも、筆の運びに著者自身の迷いとその克服(過程)がにじみ出ているように思えました。仏陀も家族がいたように、お坊さんにも生活があり、修行があり、決して人より傑出して「悟り」があるわけではないーその“ありのまま”の姿が筆致に溢れて、親近感をもよおさずにはいられません。

 上から目線でなく、自分も苦しみますよ。私にはこんなことがありました、と例に出しながら、そして仏陀や古今の賢人の言葉を引用しながら、よい意味での「諦め」の感覚とはどんなものなのか、仏教の説く「ありのまま」とはどういう意味なのかを語ります。

 わかりやすい! そして宗教関連の著書にありがちな押し付けがましさがまるでない、さらりと身体の中に流れてくるような言葉の数々。前作よりも更に「小池度」UPの1冊です。読後、心が少しずつ楽になってきます。


お坊さんにも俗界の苦しみはあるんです

「イライラに居場所を与えてやる」というのは新鮮な発想でした

やさしい説教の合間に現れる、絶妙な引用の数々

読み終わる頃には私にもできそうな気がしてきます