美しい絵と台詞に彩られた別れの短編集

誰かと別れるという行為は、どんな人との別れでも、驚く程の体力を使う。この作品はそんなハードな別れの物語を、美しくかつ幻想的に描いた短編集です。

ある1人の男と別れた複数の女たちが一つの場所に集まってくる物語や、別れ話をしていた男女に突如起こった不思議な出来事など、なんだか少し現実離れした物語たちが並びます。

美しい絵と、呟くような(けどたまにズシンと来る)台詞に、音＋無音の効果が重なって、読みながらいつの間にかこの世界観にすっかり引き込まれてしまいました。おかざきさんの作品には、その綺麗な絵だけで見せるシーンもたくさんあって、時間が止まっているような、そんな感覚を覚えます。

「サプリ」でお馴染みのおかざき真里さんのデビュー作ということで読んでみました。電子書店の著者検索は便利ですね。好きな作家さんの昔の作品を発見すると嬉しいです。

私は表題作のバスルーム寓話が好きでした。1番ファンタジーなんだけれど、1番現実的な切ないラストにとても共感してしまいました。いくら幻想的に描かれようと、誰かと別れるのって、どんな形であれ単純に悲しいですよね・・・。

タイトルをタッチすればその短編のページヘ飛べます

物語が始まってしまった、そんなシーン・・・

ちょっとした台詞もなんだかステキです　（Ｃ）おかざき真里／飛鳥新社