小説、ドラマに続き、マンガも必読の『BORDER』  死者の声を聞く、“一度死んだ”捜査官!

更新日:2014/6/11

BORDER(1)

ハード : PC/iPhone/Android 発売元 : KADOKAWA / 角川書店
ジャンル:コミック 購入元:BookLive!
著者名:小手川ゆあ 価格:605円

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 人間は知恵の生き物だそうです。地球46億年の歴史の中でも、随一の文明を築き、知恵の結晶でもって、栄華を極めた生き物…と、今のところはそうなっています。哲学が興り、様々な学問が生まれ、そして科学の発生。近年では暗黒物質や万能細胞といった、ある時代までは全く考えられなかったモノが続々と登場し、その知性の発達は留まるところを知りません。

 しかし、そんな人間も自分のことになるととかく無知です。自分が何者かを知っている人はごくわずかでしょうし、何より命自体が謎の塊です。生命の神秘といわれるように、大知性の持ち主である人類ですら、命の大切さや生命の重さは未だ知る由もありません。到底及ばないような、全くもって途方もない問いなのです。

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 …ところが、本作を読んでハッと気が付きました。実は現時点でひとつだけ、その方法があったのです。1回、死んでみればよいのです。失って初めて分かる大切さ、とはよく言ったものです。

 本作はいわゆる刑事モノのサスペンス・ドラマです。死んだ人間の姿が見える刑事・石川と、そこへ研修にきた超記憶力を持つ遥南(はるな)の2人が様々な事件を解決していきます。石川たちは被害者の霊から得た情報を手がかりに、事件の真相究明に奔走するのです。

「オレは一度死んだんだ。捜査中に銃で撃たれて、一度心臓が完全に止まった―――」

 死者の声が聞こえるようになったのは、石川が文字通り死んだからでした。死の淵から生還し、その理由を問い続ける石川は、ものいわぬ存在となった犠牲者の無念を晴らすことに生きる意味を感じるのです。

 一度失ったからこそ、失うことの悲しみを知っている。銃弾は頭部に残留しており、余命も短いと感じる石川。霊が見えるのは、脳の損傷による幻覚か、はたまた命の真実か。石川は淡々と死者の声を聞き、生と死の境界を行きつ戻りつ…。そして、石川は今日も現場まわりに出かけるのです。まるで、自分の生を確かめるかのように…。

 メディアミックスも本作の特徴のひとつ。ドラマ「SP」などを手掛けた脚本家によるドラマの安定感も魅力でした。ドラマ、小説とはまた異なる本作も見逃せません!


現場で犠牲者と遭遇する石川

とにかく記憶力の良い新人

一度死んだ捜査官

休みなく現場まわりをして捜査する理由は…

事件の真相はいかに!?