日常は思った以上にシュール? 鬼才が送る、日常系4コママンガの傑作!

公開日:2014/6/17

エレキング(1)

ハード : PC/iPhone/Android 発売元 : 講談社
ジャンル:コミック 購入元:BookLive!
著者名:大橋ツヨシ 価格:540円

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 なんだかよくわからないけど、面白い。
白黒ハッキリさせがちな現代でも、こういった体験は存外に多くあるのではないでしょうか。グレーゾーンとも言えるこの感覚は、人間の感性が、自分で思っている以上に豊かであるという証拠のようにも思います。なんだかよくわからないのですが、考えるに、知性よりも感性が先に反応しているがゆえに“なんだかよくわからないけど、面白い”のです。

 本作は、ひとことで言えば、一見してもなんのこっちゃ分かりません。シンプルで記号的なキャラ達の、シュールな日常を覗き見るマンガです。主人公は訪問薬売りのオジサン(作中ではおいさんと呼ばれる)であり、街にはどこか妙な人々が沢山住んでいます。4コマ形式ですが、オチもツッコミもない場合が多く、その人々の日常が淡々と描かれているだけ。読み口は非常にさっぱりとしていて、榎本俊二の『ムーたち』に通ずる、ナンセンスかつシュールなギャグや“ギャグのような何かが風とともに過ぎ去っていくだけのマンガです。

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 しかしながら、意味のなさそうな事が淡々と過ぎていく様は、非日常というよりは、どこか日常的のようにも感じたりします。映画で言うと、ジム・ジャームッシュのモノクロ作品のような、なんとも言えずクスっと来る、あの感じです。

 確かに実際問題としてはオカシナ人々ばかりが出てくるのですが、中身やオチがない独特の間は、ある意味でとても日常的です。考えてみれば、流暢な会話劇や、オチ、わかりやすい教訓のある展開は、普段の生活ではある方が珍しいものです。

…と、説明すればするほど何を言っているのか分からない雰囲気になってきましたが、ともかく、読めば読むほどに“なんのこっちゃ分からないまま”に味わいが増していくという、奇妙な作品なのであります。

 いかなる奇人変人に対してもおおらかで無垢。段々とスヌーピーみたいに見えてくる“おいさん”には、特に何があるわけでもない日常を楽しむヒントが見えてくるように思えたり…、思えなかったりすることでしょう。

 そして、インド人もびっくりなアニメ化もされている本作。「コボちゃん」や「ののちゃん」の難解回がお好きな方にもぜひオススメであります。


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