日本文学・演劇の担い手とアメリカ人文芸評論家が対談すると・・・

更新日:2018/5/15

反劇的人間

ハード : PC/iPhone/iPad 発売元 : 中央公論新社
ジャンル: 購入元:電子文庫パブリ
著者名:安部公房対談集 価格:378円

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アメリカ人の友達と読書エクスチェンジをしている。相手が安部公房の「砂の女」を日本語で読んでいるので、ふと、学生時代に読んだきりの安部公房を再び読んでみたくなった。
  
そこで見つけたのは、安部公房の小説ではなくこの対談集。
  
ドナルド・キーンはコロンビア大学の名誉教授で、日本文学研究者、文芸評論家。日本の文豪たちとも親交がある。一方安部公房は小説家であるだけでなく、演劇集団を主宰して演劇活動も行っている。

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その二人が、文学から歌舞伎、現代劇、オペラ、音楽、日本人について語る。
  
雑誌の対談などでは、真っ向から意見を対立させて論を進めていく、というような歯ごたえのあるものは少ないような気がするが、この二人の対談では、しばしば「私はそうは思わない」、「残念ですが、その説には賛成できません」などと、意見の相違を明確にしながら話が展開する。だから、わかりやすく、しかも、緊張感を持って読める。演劇や小説などの鑑賞の手引き書として読んでもいい。
  
この対談に出てきた視点をふまえて小説を読み、演劇を見たら、また違った発見があるだろう。対談中に出てくる、「ゴドーを待ちながら」を、ぜひ見てみたいと思った。

日本の文化に精通した二人の論客が語るにふさわしいテーマが並ぶ。自分に興味のあるところから読んでみては。もちろん、ワンクリックでそのページにひとっ飛び

あとがきでドナルド・キーンは、「安部さんこそ、劇的な人間であって・・・」と言っているが、それではこの本のタイトルの「反劇的人間」とはだれのことを差しているのか。ついに私にはわからなかった。皆さん、考えてみてください