若者が希望を持てないのは誰のせい? それは団塊世代以上のオトナたちのせい
公開日:2011/9/4
いまの日本社会はどうしてこんなに閉塞感に満ちているのか。不況だから? 本当にそれだけなのだろうか。
本書は、「若者はなぜ3年で辞めるのか」で世間に日本型雇用の歪みを浮き彫りにした著者による、日本の労働・雇用問題の本質にせまった一冊。就職氷河期世代の自分にとって、雇用問題は人生に関わる大きなテーマ。新書が未読だったこともあり、App Storeでアプリ化されたことを知り即ダウンロードした。
40歳になっても係長止まりのバブル世代、二人目が産めない女性一般職、正社員になれない団塊ジュニア…etc. なぜいまの日本にはこういった労働難民が増え続けているのか。それは、労働市場の硬直化と新卒一括採用にあると著者は語る。
通常、不況下では社会全体で痛みを分けあうべきだが、日本の多くの企業では、ベテランの正社員を守るために新卒の採用枠と非正規の雇用人数を調整、さらに若手社員の出世の道を閉ざすことで対応している。
そもそも、不況を招いたのはこれまで働いてきた世代のはず。にも関わらず、実際のところ責任を追わせられているのは若者や弱者だ。
責任を負うべき世代が責任を放棄し、まだ何も成し遂げていない、またはチャンスすら与えられていない人間が責任を負う。それが今の日本の現実。こんなのどう考えたってオカシイ。
この問題を解決するために、著者は「雇用の流動化」と「完全成果主義の賃金モデルの確立」を提案している。そして、この2つが実現した社会がエピローグで紹介されている。すべてこの通りになるとは限らないが、ここで紹介された社会は、真面目に働く多くの人間にとって理想的な社会に写るはず。
この社会を実現するには、企業の改革を待っていてもいつまで経っても変わらないだろう。実現できるのは政治だけだ。でも、本書と同様の問題を提起している政治家は、今のところ一人も見たことがない。
働く人間なら誰でも関係する内容ばかり。身につまされるような刺激的な見出しが並ぶ
iPhoneなら1Pこれくらいの文量。文章も読みやすく、サクサク読み進められるので気持ちいい
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