ひとつの物語を小説×短歌×マンガで表現! 文芸とマンガの新境地がここに

公開日:2014/9/5

ごはんの時間割 〈1〉

ハード : Windows/Mac/iPhone/iPad/Android/Reader 発売元 : 講談社
ジャンル:コミック 購入元:紀伊國屋書店Kinoppy
著者名:加藤千恵 価格:540円

※最新の価格はストアでご確認ください。

 新・想像系コミック誌『ITAN(イタン)』の誌名には、「すべてが斬新で新しすぎる異端児っぷりを発揮!」「恐れはばかれる畏憚な主人公を!」「珍しすぎる異譚な世界観を!」「いつか伝説になるような偉譚な売行きを!」という思いが込められているそうです。そんなチャレンジ精神旺盛な人たちが集う編集部なら、『ごはんの時間割』ができ上がるのも必然だったのかもしれません。ひとつの物語を漫画・小説と違う視点で広げ、最後に短歌で結ぶ。“文芸×マンガの夢の化学反応”が味わえます。

 話の舞台は金時学園高校。新入生の栗原かなこは、間合いを探り合うような交友関係がどうにも性に合いません。そんなある日、授業中に1通の怪メールが届きます。近くの商店街の食材がオススメとして載せられ、添えられるように「新しいオトモダチはできましたか」という問いかけが。自分の交友関係に思うところがあったかなこは一念発起、ずっと話しかけられなかったあるクラスメイトへ、メールに載っていた材料を使った“おもてなし料理”を振る舞うことになり…というかなこの視点が1話のマンガ部分。その次は、おもてなし料理を振舞われたクラスメイト視点の小説と、1話全体を表す短歌が続きます。

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 小説の部分では、マンガの部分で謎だったクラスメイトの心境部分が深く掘り下げられており、もう一度マンガを読み返すとささいな表情のひとつひとつをついつい深読みしたくなる気分に…(笑)。群像劇として5組の高校生たちの友情・部活・恋愛などの青春模様が、差出人不明・目的不明の「おもてなしメール」によってどう変化していくのかが描かれています。

 また『ごはんの時間割』はITANのWebサイトで限定連載されており、9月現在1話へのアンサーになる第10話が掲載されてもいます。小説×マンガ×短歌の組み合わせに興味を持った方は、ぜひとも試し読みしてみることをオススメします。


差出人・目的不明の“おもてなしメール”がかなこのもとへ。これが変化の第一歩

「オトモダチになってください!」全力で気持ちをこめたオモテナシ料理で勝負

マンガの次には短い小説も。おもてなし料理を振舞われたクラスメイト視点