実はとても正しい家族愛の漫画だったと思うのです

昔夢中になって、コミックも読んだし、テレビも観ていた「ストップ！！ ひばりくん！」の復刻版しかも完全版が出たというので、さっそく購入。

日常的に漫画を読まなくなってから久しいですが、今回、この3冊を読破するにあたり、前日あたりからきちんと仕事を終わらせ、夜に「ひばりくんを読む時間」と決め、お風呂にも入り、お茶も用意して、どきどきと1ページ目を開きました。

江口画伯とでも呼びたくなる、このしっかりとしたデッサンと構図。漫画にしておくには惜しいほどの出来上がり。昨今の漫画をよく読まないので軽く比較はできませんが、こうして主人公の日常空間（ことに家の中の描写）がきちんとしている漫画って、そうそうないのでは？ 子供心に、すっきりとしたタッチや女性キャラの愛らしい下まつげなどに強く惹かれていたのを怒涛のように思い出し。当時は「オトコオンナ」もしくは「オカマ」が主人公の漫画など、子供の漫画の世界では禁断の域ぎりぎりで、親にも「あなた何見てるのよ～」といわれながら、それでも頑として観続けていたのも思い出しました。画力も最高級なら、キャラ立ちも最高級。

ちょっと頼りない主人公の耕作が天涯孤独となり極道一家のひばりくんの家に居候することから物語が始まります。つぐみ、つばめ、すずめの美人3人姉妹、おちゃめな極道親分のお父さん。毎日いろんな顔で耕作を起こしてくれるやくざの政二、ボクシング部の梶先輩にマネージャーの可愛さん。ひばりくんをなんとしてでも自分のものにしようとする「やっくん」に、ひばりくんがオトコなのを察知し、ありとあらゆる意地悪を仕掛ける花園さんと悪役一味。なんとまぁ、どのキャラクターもしっかりとしていること！！ 誰も彼もが必須の存在で、耕作の学園生活の楽しそうなことといったらありません！

あっというまに3巻読み終えてふと感じるのは、「家族愛」。年を取ると漫画の読み方も随分変わるものです（笑）。ですが、耕作を巡る全ての登場人物が毎回大騒ぎを起こしつつも、彼をとても大事にしているのをひしひしと感じ、当然、主人公に感情移入している読者の心を温かくしてくれます。

ひばりくんや三姉妹のファッションが古臭くも見えないのは、画伯の力量と抜群の美的感覚ゆえ。久々に充実の漫画読書時間を過ごしました。昔好きだったという人も絶対、読んだことがないという人にも絶対の自信を持ってお勧めします！！

ときどき出てくる、こういう人たちがまた、たまりません

作者は、女性にも男性にも好かれるタイプのキャラを描ける漫画家の代表格では

ボクシング部のコーチも最高

「やっくん」、恐怖のキャラでしたね～

お母さんが宝塚の男役なジュンさまも、ひばりくんに夢中に　（Ｃ）江口寿史／小学館クリエイティブ