NHK朝ドラ『マッサン』のモデル。ニッカウヰスキー創業者の素顔とは?

ウイスキーと私

ハード : Windows/Mac/iPhone/iPad/Android 発売元 : NHK出版
ジャンル:教養・人文・歴史 購入元:紀伊國屋書店Kinoppy
著者名:竹鶴政孝 価格:1,296円

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 『あまちゃん』、『ごちそうさん』、そして『花子とアン』。ここのところ好調のNHK朝の連続テレビ小説だが、その新シリーズ『マッサン』のモデルがニッカウヰスキーの生みの親、竹鶴正孝氏である。非売品として刊行された彼の手記が、この度44年ぶりに復刻されたというので、早速手に取ってみた。写真を見ると、意思の強そうな、どっしりと迫力のあるご仁である。そして、奥さんのイギリス人、リタとのツーショット。当時の日本では常識破りだった海外結婚を成し遂げ、不可能といわれた「純国産ウイスキー」製造を成功させてしまった竹鶴氏とは、いったいどんな人物だったのか?

 1894年広島の造り酒屋の息子として生まれ、1918年、第一次世界大戦の真っ最中(!)に、スコッチウイスキーの神髄を学ぶべく、単身渡英。そして運命の女性リタと出会い、国際結婚をして妻と日本に帰国。スコッチウイスキーづくりの心臓部ともいわれる、巨大な単式蒸留機を国内の工場で製造し、設置はもとより、醸造、ブレンドまで指揮、あげくの果ては国と掛け合い、税制まで変えさせてしまった。イギリス以外で本格的スコッチウイスキーをつくれるのは、実は日本しかないのだそうだが、その礎をほぼ一人でつくりあげたとも言える、まさに強運とパワーの固まりのような人生だ。

 しかし彼は言う。
「私が日本のウイスキー誕生に幾ばくかの貢献をしたと言って下さる人がいるとすれば、それは私に力を貸して下さり、激励を惜しまれなかった人々の賜物である」と。運命に挑戦して生きていくにも、自分の力で扉を開けていくというより、「周囲の人の好意や協力で、自分の進む機会が与えられ、とびらの方から、おのずと開いていってくれ」た、とも。成功をつかむにはもちろん努力も必要だが、人を引きつける人間的魅力があってこそ、本当の「運の強さ」を呼び込めるのかもしれない。

 明治男、というと、頑固で堅物なイメージがあるが、手記に書かれた妻リタとのなれそめは、なかなか初々しくロマンティックだ。そしてクリスマスプディングのエピソード。英国に伝わる、クリスマスに欠かせないこのケーキ、生地に指ぬきと6ペンス銀貨を混ぜ込んで焼きあげ、銀貨を引き当てた人はお金に困らない、女の子に指ぬきが当たると将来いい奥さんになれる、そして男性に銀貨、女性に指ぬきが当たったら、ふたりは将来結婚する、といわれているのだとか。そしてなんと、この奇跡が若いふたりに起こったのだ。小説を地でいくようなこんな偶然が起こったら、確かに運命を感じてしまうかも。大企業の創業者にも、こんな甘酸っぱい思い出があって、それをどこか楽しそうに告白しているところが、なんともニクい。

 巻末のコラムは彼独特のこだわりが満載で、ウイスキーへの愛情がひしひしと伝わってくる。大胆で豪快、こだわる点は絶対妥協しない頑固者で無類のロマンティスト。そんな人間的魅力にあふれた,竹鶴正孝の姿が垣間見える。秋の夜長、ウイスキー片手に楽しみたくなる1冊。


マッサンこと竹鶴正孝氏とその妻リタ。英国ではよくスペイン人と間違われたそうだが、さもありなん

大けがさえポジティブに考える。この姿勢が成功の鍵?

そしてこのバイタリティ。自分からぶつかっていかねば、扉さえ存在しない

クリスマスプディングの愛らしいエピソード。マッサン、本当にうれしかったんだろうなー

スキージャンプ台の整備も。自分の夢はもちろん、人の夢をも大切にした人だった



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