快適な旅とは、心と体にゆとりのある旅である

更新日:2011/9/5

素晴らしき自転車の旅 サイクルツーリングのすすめ

ハード : PC/iPhone/iPad/WindowsPhone/Android 発売元 : 平凡社
ジャンル:趣味・実用・カルチャー 購入元:eBookJapan
著者名:白鳥和也 価格:540円

※最新の価格はストアでご確認ください。

冒険と呼ぶほど激しいものではなく、ピクニックというほど気楽なものでもないサイクルツーリング。その楽しみを余すところなく語りつくした本である。著者は自転車文学研究室を主宰するライターの白鳥和也。
  
日本では、レースではない自転車のレクリエーション活動を示す場合、「サイクリング」という言葉を使う。だが欧米ではサイクリングという言葉には、1日100キロ以上の走行距離、標高差1000メートル以上の自転車走行も含まれている。

advertisement

そして「サイクリスト」とは競技に出るレーサーを意味し、自転車で旅する人を「ツーリスト」と呼ぶ。故に著者は、自転車で旅することを「サイクルツーリング」という言葉で語っている。これはいかにサイクリングという言葉が欧米で専門的になっているのかがわかるエピソードである。さすが3週間でフランスを1周するようなツールド・フランスを開催する欧米の自転車文化だといえよう。
  
本書ではサイクルツーリングを楽しむ点として、「どこを走るか?」「いかにして走るか?」「どんな自転車で走るか?」を挙げている。説明されるのは、まず走る場所の選定。旅の目的地にも関わる大事な要素である。そして安全な走行方法。スタート・ストップから自転車の基本的な乗り方まで記されている。
  
著者によれば、案外多くの人は自己流で自転車を操縦しているという。確かに、自転車の乗り方を他人に教わるのは初めて乗る前だけである。機能も日々進化し、車と同じように交通法も常に改正されるため、免許の更新と同じ感覚で自転車の乗り方も更新する必要があるかもしれない。そして自転車選び。旅に向いている、向いていない自転車をさまざまな視点から詳細に説明している。
  
だが著者が一番伝えたかった点は自転車の旅を楽しむことである。そして確かに、サイクルツーリングで楽しんだ著者の雰囲気はページから伝わってくるのだった。

著者の旅行写真

田園風景の中で

放牧風景の中で

電車とのツーショット

峠の上から

日本の広さを感じる背景

タンデム自転車は珍しいと思う (C)白鳥和也/平凡社