女の葛藤は30年経っても変わらない これぞ80年代読本!

小説・エッセイ

更新日:2015/9/29

「結婚」まで よりぬき80s

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 読後感の、この微妙な淡い気持ちはなんでしょう?!林真理子という作家に改めて感嘆した、ということなのかもしれません。

 本書は80年代まさにバブル真っ盛り時期に、著者が雑誌に連載した「今夜も思い出し笑い」「愛すればこそ」「言わなきゃいいのに…」などのよりすぐりを集めたエッセイ集。「トゥールジャルダン」「ほっかほっか亭」「三浦さん」などなど、出てくるキーワードの懐かしいこと! 彼女こそあの時代の女性心理を見事に書ききった人ではなかったでしょうか。女性の社会進出がよしとされ、どんどん男と混ざりながら、それでも結婚を諦めず、専業主婦時代の母親や世間の眼と戦い、モードにしがみつき、バブルの最上の贅沢とこだわりに酔い、まさに誰もが「流されて」いった時代。林真理子のように、普通の女性の普通の感覚をユニバーサルなレベルまで引き上げてくれた作家はいないでしょう。

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 あの頃、彼女の単行本をちゃんと「買って」いたのも思い出しました。ちょっとした旅でも、休み時間でも、いつでもフィットし、さっと忘れてよい読み物。それでいて、30年経ってみると見事に時代を再現しています。そこに圧倒的な筆力があるのでは。そのことに改めて感動した作品でした。内輪話みたいな連続も、「業界」を体験しているようで面白かったなぁ。

 今現在、彼女がどんな作風になっているのかを改めて興味がわきます。80年代を懐かしむ方、80年代の雰囲気をどんなだったのか知りたい若者には必須の一冊。女の葛藤は30年経ってもあんまり変わってないですね。


大学のブランド化も激しかった時代

林真理子の作品に出てくる友人たちも名傍役で

記憶の彼方にあった「アグネスチャン論争」も懐かしく