山を愛し、気ままな旅の醍醐味を知る著者による、山にまつわるエッセー集

小説・エッセイ

更新日:2012/3/2

海山のあいだ

ハード : PC/iPhone/iPad 発売元 : 中央公論新社
ジャンル:小説・エッセイ 購入元:電子文庫パブリ
著者名:池内紀 価格:432円

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旅に出るならやはり海外。若いころから、異文化に触れ、未知の体験をしたいと常々思ってきた私“ぷりまべら”は、日本の各地を訪れる旅は、もう少し後のお楽しみとしてとっておきたいと考えていました。

ところが、池内紀さんの著書「海山のあいだ」を読んでいると、日本の美しい自然に触れる旅に今すぐにでも出かけたくなってしまったのです。

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「ひとりの山好きが返礼として仕上げたもの」と池内紀さんは語っていますが、本書は、山好き、そして一人旅好きでもある著者による、山にまつわるエッセー集です。今は亡きオーストリア人の友人との山登りの思い出をつづった「追悼記」から始まり、山の温泉や不思議な光景をめぐる「風景読本」、自然の中を歩き、風景を楽しみ、人情に触れる「海山のあいだ」等、自然を愛し、山を愛する著者による珠玉のエッセーの数々が収められています。

この本が世に出たのは1994年ですが、収録されたエッセーはその10年余り前から書いていたそうです。「いま思うと自分の感じ方、考え方、自然や人の見方が、春の山野の若芽のような状態で芽ぶいている」と著者はあとがきで語っていますが、本書を読んでいると、自らも、山野を歩き、自然の美しさや厳しさに触れ、何かを感じているかのような感覚になり、なんともすがすがしい気分を味わうことができます。

自然と触れ合う旅には普段あまり出かけない“ぷりまべら”ですが、気ままに山へ海へと向かう池内紀さんのような旅に出かけてみたくなりました。

羅臼岳、八甲田山、谷川岳…と目次には著者が登った山の名が連なります

著者の友人ペーター・リンドルさんは、でっぷりとしたお腹に高血圧と、およそ山登りなどできそうもない体だったのですが…