仏教は“クール”! そう感じるに違いない、名僧のおコトバ集

更新日:2011/9/12

仏教の名言100

ハード : PC/iPhone/iPad 発売元 : 学研
ジャンル: 購入元:電子文庫パブリ
著者名:綾瀬凛太郎 価格:463円

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震災以降、人の世の儚さというものを、日々目の当たりにさせられている。巨大な現実の前にひたすらたちすくむしかなく、心の置き場のなさがもどかしい。
  
先日、ある哲学者がテレビで「多様な自然の中で生きてきた日本人の根底には(仏教的)無常感が常にある」と語っていたのを見て、そんな仏教的世界をちょっと知りたくなって読んでみた。

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本書はざっと39名の名僧(聖徳太子にはじまり、最澄、空海、一休、蓮如などメジャーどころから知られざる系まで網羅)が発した「ザッツ仏教」な名言を100集めたおコトバ集。言葉の背景と人物紹介などがコンパクトにまとめられており、あまり仏教の歴史を知らなくても大丈夫な構成で、初心者でも言葉ひとつひとつのインパクトを楽しめるようになっている(もちろん拾い読みもオッケー)。
  
正直なところ、いわゆる単純でシンプルな「ありがたい系」の言葉が並んでいるのかと思っていたのだが、そこはさすがの仏教者。そんなに単純ではなかった。
  
いわゆる禅問答のように言葉の奥深さは半端なく(解説があってはじめて理解できるものも多々ある)、それだけ手ごわいし、それだけ味わい深いのだ。
  
また、各名言に僧の「個性」がでまくっていることも新鮮だった。静かなる人、破天荒型な人(けっこう奇人変人系も多い)…それぞれの生き方のアプローチまでもが、言葉から鮮やかにたちのぼってくる。
  
それにしても印象的なのは、それぞれの言葉の根底にある突き放したような客観性だろう。これが、まるでボディーブローのように効いてくる。この“クールさ”こそが「仏教的無常感」…?
  
この本を入口に、もうちょい奥まで仏教的世界をのぞいてみようか、と少し思っている。

「まえがき」より

この本に登場する名僧たち

言葉とその解説がこんな感じで100あります (「1 聖徳太子より」)