命燃え尽きるまで、宇宙をさまよう“無法の女”

更新日:2012/1/25

クイーンエメラルダス (1)

ハード : PC/iPhone/iPad/Android 発売元 : 講談社
ジャンル:コミック 購入元:eBookJapan
著者名:松本零士 価格:648円

※最新の価格はストアでご確認ください。

御存知、SFの大御所・松本零士の作品のひとつ。

宇宙船「クイーンエメラルダス号」を駆る、宇宙海賊エメラルダスの物語。

advertisement

エメラルダスは、「銀河鉄道999」の星野哲郎やメーテルを助ける女海賊というイメージが強いのだが、主人公として登場する作品も存在するのである。

物語は、自分の力で宇宙船を造ろうとして苦難に立ち向かう、もうひとりの主人公・海野広を、エメラルダスが陰から見守るお話。海野広は宇宙の無法者達や卑屈な天才宇宙船設計者・ラメールと出会ったりしながら、自分の宇宙船を作るという夢を追い続ける。同じく松本零士の原作作品「宇宙海賊キャプテンハーロック」のハーロックと台場正との関係に似ているのかもしれない。

お話が進むにつれ、エメラルダスがクイーンエメラルダス号をモスガルートのゾナラーナから譲られる話や、海野広の正体、エメラルダスが旅する理由が解き明かされていく。

エメラルダスのクイーンエメラルダス号入手話が描かれているのは貴重だと思う。だが、この物語の本筋は、あくまで男が夢を追い求めていく話である。地上で満ち足りていた人々が、宇宙という名の未開の海へ出て行った者を憐れみ、蔑みの目で眺めている時代、命燃え尽きる時まで自分が作った宇宙船で宇宙を駆け巡りたいと、少年が運命に抗う話である。この作品のテーマは、未だ多くの人々の胸に燃え続けているに違いない。

それから、海野広といえば、松本零士原作の長編アニメーション作品「マリンスノーの伝説」を思い出すのは私だけ?

マントに重力サーベル。「今時、流行らないんだよ」とキャプテンハーロック(TV版)に登場する首相みたいなことを言う者は、去れ

海野弘の無念。少年の泪の美しさこそ、松本ワールド

この構図とモノローグは、松本ワールド特有

クイーンエメラルダス号の荘厳なる勇姿 (C)松本零士/講談社