「このマンガがすごい!2015」ランクイン!男子生徒の”けだる活動”
公開日:2015/1/9
田中君はいつもけだるげ
ハード : | 発売元 : スクウェア・エニックス |
ジャンル: | 購入元:KindleStore |
著者名:ウダノゾミ | 価格:※ストアでご確認ください |
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アンニュイ男子がもてはやされるのはいつの時代も一緒だ。特に草食男子という概念が登場して以降は、カテゴリが明確になったため「けだるげ男子好き!」とラブコールがより市民権を得たように思う。
どうしてけだるげなキャラはモテるのか。アンニュイキャラとクールな悪役はどちらも「冷めている」「なんか溜息をついている」という性質を持っているが、悪役が往々にしてダサい台詞を放つ可能性があるのに対して、ただのアンニュイくんは無害である。アツくむさ苦しい奴らから一歩引いて達観モードを放っている彼らは「上級者」感を醸し出しており、一目おかれるにふさわしいだろう。それに憧れてリアルの学校生活において慣れないアンニュイを演じた勇者の半分が、その後「面倒くさい奴」に無事昇格するという事故も当然起きている(本人は気づかない)。
【このマンガがすごい!2015】にランクインした『田中くんはいつもけだるげ』の主人公・田中くんは、全くイタくないアンニュイ男子なので安心してほしい。田中くんは、達観うんぬんよりも、すべてが「面倒くさい」の上になりたっており、ペットボトルのフタを開けてお茶を飲むことでさえ重労働なのである。
「俺、別に自分の人生の中でも主人公とかやりたくないな――……」と非常に素直。一周回って深い言葉にも聞こえてくる。このように、気持ち良いくらいの面倒くさがり。面倒くさいか否かというのは日常の選択から技術の進歩までを左右する事項であり、共感する人も多いだろう。
田中くんはスーパー面倒くさがりだが「ダメ人間」という言葉が彼と無関係に思えるのはキャラクターに可愛らしさがあるためだ。おまけに友達の太田くん(彼の世話係のような役割をしている)との関係が、見る人によっては何よりも楽しみになるという親切設計もある。人生の主人公になろうとして疲れた人にオススメの一冊。
独特の時の流れにいる田中くん
アンニュイな表情で読んでいるのは「絶対にけだるい午後を過ごすための10の法則」…
怠けようとするとたまに起こる弊害…
頬杖をつくのがおなじみポーズ