エリート銀行員の左遷先は金魚問屋? 新時代の“金魚すくい”マンガ!

更新日:2015/1/26

すくってごらん

ハード : 発売元 : 講談社
ジャンル: 購入元:KindleStore
著者名:大谷紀子 価格:※ストアでご確認ください

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 少年漫画のジャンルのひとつに“スポ根”というものがあります。スポーツ&根性! 少年漫画の真髄のひとつです。改めて言葉にするとなんだか古臭く感じますが、『あしたのジョー』などに始まったその系譜は今なお現役。脈々と続いています。フィジカルスポーツを扱ったオーソドックスな作品群も健在ですし、近年ではマインドスポーツ作品も多数あります。(囲碁を扱った『ヒカルの碁』や将棋の『ハチワンダイバー』『月下の棋士』など。漫画を扱った『バクマン。』などもある意味スポ根的です)

 本作もそんな熱いスポーツ漫画の一つ、かもしれません。しかも主人公が挑むのは、由緒正しきジャパン・トラディショナル・スポーツ。命と命が向き合う、刹那の競技! その名も、金魚すくい!

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 舞台は奈良。東京のエリート銀行員・香芝誠(かしば・まこと)は些細なミスで左遷され、日本でも有数の金魚の町・大和郡山市へ。苦々しく片田舎を睨む誠でしたが、家の向かいの金魚屋で一目惚れした吉乃(よしの)に出逢い、金魚すくいに挑むことになります。ド素人かつ不順な動機で始めた金魚すくいでしたが、他のどの競技とも違う独特な魅力のめり込んでいくのでした。

 『君に届け』に金魚をたらふく食わせたような本作。金魚としぶきが見た目にも涼しい、とっても爽やかな作品です。知られざる金魚すくいのテクも満載で、漫画の続きも読みたいですが、まず金魚をすくいたい!となること間違いなし。季節が冬なのが悔やまれます。サッカーや野球などに比べると地味な印象の金魚すくいですが、侮る無かれ。なかなかどうして読めば読むほどに奥が深いものです。要はたくさんすくったほうが勝ちですが、相手はものではなく生き物です。言い換えれば、生き物との対話こそが勝負の鍵になるといっても過言ではありません。身体のスポーツでもあり、頭脳のスポーツでもあり、心のスポーツでもあるのが深遠なる金魚すくいなのです。

 スポーツマンガ界のダークホース中のダークホースな本作。今までの金魚すくいは全て“おあそび”。きっと明日からは本当の金魚すくいがアナタを待っています。満を持して登場した金魚すくい漫画、要注目ッッ!!


ウェルカム 大和郡山市

大の大人も金魚すくい

動機:モテるため

目標は3分間で100匹!?